研究課題/領域番号 |
11410046
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
吉田 千秋 岐阜大学, 地域科学部, 教授 (40021802)
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研究分担者 |
中西 新太郎 横浜市立大学, 国際文化学部, 教授 (50155769)
後藤 道夫 都留文科大学, 文学部, 教授 (20145709)
吉崎 祥司 北海道教育大学, 教育学部・岩見沢分校, 教授 (00048133)
竹内 章郎 岐阜大学, 地域科学部, 教授 (60216843)
中山 一樹 鹿児島県立短期大学, 教授 (00217928)
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キーワード | 福祉国家 / 基礎構造改革 / 多国籍企業化 / 生活様式 / 家族問題 / 生死の決定 / 優生思想 / 福祉行政 |
研究概要 |
本研究の研究目的として掲げた諸点にそくして、研究実績を提示する。 1、福祉国家を世界の構造と関連させて把握する点では、今年度は、昨年度の多国籍企業化及び福祉構造基礎構造改革という論点に加え、これまでの日本の生活賃金を含むが故の右肩上がりの賃金カーブの在り方と福祉国家の小ささとの関連、及びジェンダー視点にたった福祉国家思想、特に女性労働の在り方と社会保障の在り方との関連を捉え、福祉における賃金・ジェンダー視点を通じて、目指すべき21世紀福祉国家の新たな類型論の根幹の一層の整理を行った。 2、生活様式などに関わる文化的内容を福祉の本質的要素として把握する点では、今年度は、特に、少年期暴力を社会的脈絡において捉えた場合に浮上する社会保障的問題と、周縁化された青少年に対する社会システムの崩壊としての福祉欠如の問題を整理した上で、これら問題の解決のために、ライフラインの再構築という筋から新福祉思想の概略を明らかにし、福祉をライフステージ全てにおける客観的な「善き生存」の指標とする場合に必要な諸論点を抽出した。 3、生命次元に及び人間理解に関わる福祉を把握する点では、今年度は、特に、生命倫理学において頻出している、生死の自己決定問題(胎児、痴呆の場合を含む)が広義の福祉の未成熟ないし縮小と結合しつつある点を論証する共に、19世紀後半以来、優生思想が福祉国家の成立を促進すると共に阻害してきたという矛盾的問題も整理した。 4、なお、上記諸点の構築にとって、昨年度と同様に今年度も、北海道函館及び江差の地域医療と地域福祉現場の責任者や介護保険問題の現場事情に詳しい論者など複数の実践家から、実態にそくした情報を得たことが、非常に大きな意味を持った。
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