研究課題/領域番号 |
11410047
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
三隅 一百 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (80190627)
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研究分担者 |
岩本 健良 金沢大学, 文学部, 助教授 (50211066)
小林 淳一 福岡大学, 人文学部, 教授 (20113243)
高坂 健次 関西学院大学, 社会学部, 教授 (60027977)
木村 邦博 東北大学, 大学院文学研究科, 助教授 (80202042)
佐藤 嘉倫 東北大学, 大学院文学研究科, 助教授 (90196288)
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キーワード | 社会学理論 / フォーマライゼーション / 数理社会学 |
研究概要 |
本研究の目的は、フォーマライゼーション(数学による論理明確化、定式化、モデル分析)を通して社会学の古典理論や伝統的概念を再吟味し、そこから現代社会学理論のブレイクスルーの可能性を探求することである。そのために、構造理論伝統班、過程理論伝統班、古典的トピック班を編成し、各領域における理論的問題を整理・検討しながらフォーマライゼーションを進めた。毎年3〜4回の研究会議開催の他、独自の国際研究会議企画、さらにまた国内外の学会・雑誌での成果公表を通して、世界的水準に通用する成果の達成に務めた。 上記の班編成による共同研究効果として、社会学における主たる古典理論を体系的に再検討できた点は大きい。従来の学説史研究の枠にこだわらず、様々な理論潮流との接合や思い切った論理単純化をはかり、フォーマライゼーションの特性を生かすことで、ウェーバー、マルクス、デュルケーム、パーソンズ等巨匠の主要論点に関して、いくつかの重要な理論的再発見を得た。こうした形での社会学説史の理論史への書き換えは、これだけまとまった形としては世界で初めてである。ただし、古典のより全体的な書き換えや、それを通した現代社会学理論のブレイクスルーは、未達成の課題として残された。我々は、いわゆる古典だけでなく、ある程度洗練されてきた諸概念や分析枠組み、さらに古典的データやデータ分析法に関しても、フォーマライゼーションによるいくつかの理論的発見を得た。これらのより洗練された議論と古典理論をフォーマライゼーションでつなぐことも、未達成の重要課題である。 報告書では英語執筆に務めたが、邦文論文も今後英語での発表・投稿を進め、海外への影響力を増したい。さらに今後この分野での共同研究が増すと思われるアジアへの発信という趣旨で、報告書の中国語翻訳にも取り組んでいる。
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