本研究は、まず米国における情報アクセシビリティ関連の法制度の内容について調査した。その結果とくにリハビリテーション法、アシスティブ・テクノロジー法、障害を持つアメリカ人法、電気通信法が重要な役割を果たしていることがわかった。 こうした諸法律によって、アクセシビリティを支えるユニバーサル・デザイン指向の技術開発や支援技術の開発が促された。なかでも視覚障害者のコンピュータ使用を支援するスクリーンリーダ開発とウェブ・アクセシビリティをめぐる種々の取り組みにはめざましい発展があった。 アクセシビリティの政治に動かされて、マイクロソフト社はスクリーンリーダ開発を支援するユニバーサル・デザイン指向の技術としてMSAAを開発することを余儀なくされた。またウェブ・アクセシビリティを推進しようとするWorld Wide Web Consortium(W3C)の活動が活発化した。 こうした状況を踏まえて、W3Cのガイドラインに基づき、日米の公的および民間のウェブ・サイトのアクセシビリティの実状を比較調査した。その結果、政府などの公共機関でのウェブ・アクセシビリティに大きな差が見られた。これはリハピリテーション法508条の施行によるところが大である。 さらに、米国における字幕放送の歴史を詳しく調査した。いまや米国ではテレビの字幕放送はほとんど常識となっているが、そこへ至るプロセスが明らかとなった。 さらにまた、身体障害者にとってのコンピュータとインターネットのアクセシビリティを支援する技術(視覚障害を支援する技術、聴覚障害を支援する技術、運動障害を支援する技術、認知・学習障害を支援する技術)を調査した。
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