本年度は、まず、過去15年間の時系列的な市町村別の外国人登録数データを下に、出身国別分布や総人口に占める比率を算出して、外国人労働者の北関東地域における地理的な分布を視覚化した。この中で、茨城県西地域の小規模の市町村における外国人労働の比率が予想以上に高いものであることに注目した。これらの市町村において、外国人研修生、日系人労働者、そして不法就労者の三つの労働者カテゴリーを対象に、企業による使用のあり方の差に焦点をあてて、企業と労働者への聞き取り調査を実施した。結城市、下妻市、石下町、水海道市における電子部品、食品加工産業を中心とした聞き取りの結果、北関東という東京から自動車で2時間程度という首都圏の外円部に集積する事業所においては、消費市場の動きへの臨機応変な対応が特に重要であり、このため労働時間の長期化、不規則化、夜間・休日就業の要求といった現在の日本経済全体に共通する就業形態の変化が著しい形でみられ、この労働への要求を充たすものとして外国人労働力への需要が拡大している。外国人労働力は、賃金コストの圧縮、労働力量の調節、市場に即応するための就業といった課題に答える鍵となっている。このような全体状況の中で各外国人カテゴリーに関しては以下のよう事実が発見された。第一に、入国管理規制の強化の中で労働力コストを削減する目的のために、研修生需要が増大している。第二に、研修生の使用は、その就業時間の規制・日本語能力の限界などの制約があり、不法就労者への依存は量的に減少しつつも、確実に持続している。第三に、可変的な労働力の比重の増大は、量的な制約のない日系人たちの雇用数をかなりの数に押し上げ、現在も高い水準を維持している。
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