研究課題/領域番号 |
11410060
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 大正大学 |
研究代表者 |
藤見 純子 大正大学, 人間学部, 教授 (60173457)
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研究分担者 |
宇高 良哲 大正大学, 文学部, 教授 (60054657)
望月 嵩 大正大学, 人間学部, 教授 (20054645)
正岡 寛司 早稲田大学, 文学部, 教授 (70063625)
林 亮勝 大正大学, 名誉教授
嶋崎 尚子 早稲田大学, 文学部, 教授 (40216049)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 宗門改帳 / 検地帳 / 縦断パネルデータ / 世帯継承 / 分家(世帯分立) / 世帯消失 / ライフコース |
研究概要 |
幕藩体制初期における農民世帯のより正確な理解を目指す本研究課題では、甲州西南湖村の寛文6(1666)から享保4(1719)年に至る53年間中41年分の宗門改帳から作成した世帯パネル・データ、および寛文12(1672)の同村検地帳から作成した名寄せ(個人と世帯)データに基づき、農民世帯のライフコースを、世帯主・家長位座の交代および継承過程に注目して観察した結果、次のような知見を得た。 (1)53年の間に西南湖に存在した世帯の交替がかなり激しく、観察期間(1666〜1719年)を通じて存在し続けた世帯は188世帯パネル中4分の1を下回わる。残り4分の3は、観察期間初期に存在した世帯の分家、もしくは観察期間途上から来住世帯である。 (2)観察期間途上から出現した分家は、寛文検地時において上層と位置づけられる経済力(保有地規模)を有する世帯を本家としている。 (3)188世帯パネルの半数以上は、観察期間内に消失している。消失する世帯に共通する著しい特徴は見出されない。しかし、その6割は単身世帯を最後の姿としている。また、来住世帯の場合に消失世帯となる傾向が認められる。さらに「欠年」事態(一時的に宗門改帳に登場しない)を含む世帯は、観察期間途上で消失してしまう世帯において相対的に多い。 (4)188世帯パネルの8割近くは「2世代」以上を経過しており、世帯のもつ世代を超えた存続の志向性がうかがわれる。しかし、同一世代においては複数の者(夫と妻、あるいは兄と弟あるいは妹の夫)が家長位座に就任する世帯がむしろ一般的で、家長位座が先行する世代に戻る例も希有ではない。 これらの知見は、この時期の観察対象村の世帯が従来指摘されてきた「家」の特質(たとえば一子相続制に裏付けられた村の安定的構成単位)を十分には備えていないことを示唆していると考えられる。
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