研究課題/領域番号 |
11410061
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
菊池 美代志 帝京大学, 文学部, 教授 (90086843)
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研究分担者 |
池 周一郎 帝京大学, 文学部, 助教授 (20246060)
江上 渉 成蹊大学, 文学部, 助教授 (50213533)
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キーワード | 都市居住 / 地域構造 / パネル調査 / ポストバブル / コミュニティ |
研究概要 |
ポストバブル下での都市市街地の変貌を明らかにするべく、名古屋市駅前の亀島地区、郊外都市三鷹市の郊外住宅地である新川・中原地区、城下町大垣市の旧市街地西小学校下地区という特色ある市街地域をとり上げて調査をおこなった。 平成13年度は、これまでの二年間に収集したデータの事例分析や統計的解析を行なった。とくに名古屋と三鷹では、十年前に実施した時のリーダーと機関の調査データと照合しその変化をみたところ、人口の減少、高齢化と少子化、環境の悪化等が進んでいた。大垣においても同様の地域状況がみられた。コミュニティについては、名古屋では解体化、三鷹では硬直化が進んでいたが、大垣では更新の動きがあった。 平成12年度の質問紙調査結果を分析してみると、住民の多くは不況下での市街地の変貌に強い関心を寄せ、特に少子化、高齢化、若い人のマナー、後継者の喪失、商店廃業などの「町の衰退」に深刻な危機意識をいだいていた。この年の名古屋と三鷹の調査では、平成元年度に調査した対象者を再調査している。都市では移動性が高く、十年もすればパネル調査は困難だといわれてきたが、実施してみる四割程度の住民が残留していた。10年間の変動を見ると、三鷹は比較的安定していたが、名古屋では家族が縮小し階層が下降する傾向にあった。名古屋が衰退傾向にあることと関係がある。 そして、これらの分析結果を携えて、名古屋、三鷹、大垣を再度訪問し、現地の人々と討論を行なって、報告書をまとめた。結論としては、住民が都市に居住し続けようとする意欲が重要で、老朽化した住宅を自ら改修し、悪化した環境を改善すべく自主的な地域活動を実行していた。自治体は企業とも提携しながら、定住意欲を高めるようなまちづくり施策を展開すべきであり、その手法としては地域修復が有効であると考えられる。
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