学習障害児の適応型聴覚学習プログラムの開発

2002 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11410068
• 研究機関: 高知女子大学
• 研究代表者: 吉野 公喜 高知女子大学, 社会福祉学部・教授, 学長 (80092659)
• 研究分担者: 谷本 真二 高知女子大学, 生活科学部, 教授 (20137318) ; 原島 恒夫 筑波大学, 心身障害学系, 講師 (70262219) ; 加藤 靖佳 筑波大学, 心身障害学系, 講師 (10233826)
• キーワード: Central Auditory Processing / 学習障害児 / 枢性聴覚的情報処理 / 両耳分離聴 / 継時的処理 / 時間ひずみ / 2up 1 down / Gap Detection

研究概要

Children with Central Auditory Processing Disorders(中枢性聴覚的情報処理障害児)は、漢字等の視覚系の情報処理には問題が比較的少ない学習障害児と思われる。彼らは、言語音の聴覚的学習にとりわけ困難を示す子どもたちといえる。知能及び聴力レベルが正常範囲にあっても日常の会話及びことばの聴き取り学習において、聞き逃し、聞き誤り、聞き違いが著しく困難な児童20名を特定し、彼らに対してパーソナルコンピュータを用いた聴覚学習支援ソフト(適応型聴覚学習支援プログラム)の適応を試みた。
本年度は、これまでに開発した「各種の両耳分離聴検査」、「時間ひずみ語音検査」、「周波数ひずみ単語検査」、「両耳交互聴検査」、「2up 1 down」を基本とする適応型聴覚学習課題(「Gap Detection課題」、「時間ひずみ単語聴取課題」、「ノイズ下単語聴取課題」)の実際に検討を加えた。10-12歳児の学習障害児に加えて、6-10歳児への適応をこころみたが、学習障害支援教師のもとであっても、学習障害児がノート型パーソナルコンピュータを自ら操作して、能動的に言語音の聴覚学習を進めるには、個人差に対応しうる聴覚学習支援プログラムに改善することの必要性が示唆された。
言語音の聴覚的学習がとりわけ困難な学習障害児の知覚構造は、語音の継時的処理困難を中核にもつといえる。時間処理における「2up 1 down」方式の各ステップの設定のしかたに、学習障害児それぞれの個人差に対応しきれるプログラム上の改善が求められる。

研究成果

• [文献書誌] Harashima Tsuneo: "Auditory Middle Latency Responses A Patient with Unilateral Cerebral Legions"International Journal of Psychophysiology. (発表予定).
• [文献書誌] 原島恒夫, 吉野公喜, 他: "片側中枢性聴覚障害例における両耳分離聴検査"神経心理学. 16(3). 208-218 (2000)
• [文献書誌] 吉川千絵, 原島恒夫, 吉野公喜, 他: "Emotiona聴知覚における大脳半球機能差に関する研究"心身障害学研究. 25(1). 13-23 (2001)
• [文献書誌] 吉川千絵, 原島恒夫 他: "片側脳損傷者における両耳聴検査による中枢聴覚系機能の評価について"神経心理学. 17(3). 192-200 (2001)
• [文献書誌] 吉川千絵, 原島恒夫 他: "聴覚的消去の機序に関する一考察"神経心理学. 18(4). 230-238 (2002)
• [文献書誌] 加藤靖佳: "一般聴取者が受聴する重度聴覚障害者の構音に関する一考察"Audiology Japan. 46(1). 44-51 (2003)
• [文献書誌] 吉野公喜他共編著: "障害児教育<2訂版>"コレール社. 250 (2000)