研究課題
1 本年度は、昨年度まで行ってきた無試験検定制度に係わる基本資料の収集の上に立ち、研究分担者が各々分担された資料の本格的な読解に入った。以下はその作業の具体的な内容である。(1)国立公文書が所蔵する無試験検定の許認可に関する簿冊(本科研によりマイクロフイルム化したもの)の読解。(2)代表者が所蔵する教育関係雑誌(『教育時論』『教育学術界』『教育界』『帝国教育』『学校教育』等)に掲載されている無試験検定制度関係記事の読解。(3)初年度に作成したマイクロフイルム版『受験と学生』の中から抽出した無試験検定制度関係の記事、とりわけ無試験検定の許可学校の紹介や学生たちの声の読解。2 研究分担者がそれぞれ手分けして、戦前無試験検定許可学校であった大学の調査を行った。とりわけ、立命館大学の大学史編集室に有力な資料が丁寧に保管されていることが判明した。3 研究活動の中間報告として、日本教育学会第60回大会(於:横浜国立大学、2001年8月28日)において、「近代日本中等教員養成に果たした私学の役割に関する歴史的研究-家事・裁縫・体操を中心に」と題して行った。4 研究活動の集約と情報交換のために全体の研究会を2回行った。年度当初3回の開催を予定していたが、先に記した学会発表の打ち合わせを優先したため1回減らした。5 初年度から収集・整理を行っていた『官報』の記事を使用し、戦前期の教員検定制度史の執筆作業を行った。昨年度から執筆に入ったものであるが、完成まで今しぱらく時問がかかる予定である。なお、これは最終報告書の総論にあたるものである。