研究課題/領域番号 |
11410076
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
井上 星児 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (70223253)
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研究分担者 |
小野田 正利 大阪大学, 人間科学部, 助教授 (60169349)
宮崎 正勝 北海道教育大学, 教育学部・釧路校, 教授 (80241834)
佐藤 学 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (70135424)
GRIEK Lyckle 広島大学, 留学生センター, 講師 (30294606)
小玉 亮子 横浜市立大学, 商学部, 助教授 (50221958)
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キーワード | 社会民主主義 / 国際協調 / 国際テロリズム / NAM / イスラム / 国際連盟 / W・ウィルソン / 周縁的ヨーロッパ |
研究概要 |
○第2年度に引き続き「歴史的・理論的研究」を深める一方、フランスを中心に「各国教育政策の変容」に関する具体的分析に漸次着手していった矢先、2000年9月11目の米での「同時多発テロ事件」が勃発して、本科研の構想時の理論的前提を根本から覆す国際社会情勢が現出し、科研活動が(a)理論・思想面、(b)実践・遂行面、の両面で大きな困難に遭遇した。すなわち、米国のアフガン報復爆撃戦略に、英を先頭として西欧の社民系政権国家の多くが同調"参戦"し、新自由主義の当否論争や「エコノミーとエコロジーの両立」論議といった本科研の前提的問題意識が視界不良状態に陥ったこと、他方テロ警戒の強化から科研スタッフの海外出張調査が困難になったこと等である。こうした状況の全体に見通しをつけるため、12月の総会では、南アジア=ヨーロッパの歴史的関係に詳しい吉田修・広大法学部教授に講演(「アフガン報復爆撃のEU社民化動向への影響」)を依頼し、またヨーロッパのみならず第三世界の社会民主主義政策の展開にも目配りする必要があるとの新たな認識から、中南米に2ヶ月滞在して帰国したばかりの研究分担者・佐藤学氏に詳細な問題提起をしてもらい、今後の研究展開の方向性を多角的に議論した。 ○ヨーロッパの中でも、EU推進の中軸国(仏・独・英等)と周縁国とでは一律に論じがたい(例;英の核廃棄物被害をもろに受けて国際法廷で係争中のアイルランドなど)局面も多々あり、米国の東部主要大学を含め、ダブリン・リスボン(コインブラ)等の周縁ヨーロッパの有力なEuropean Studies拠点機関を、研究代表者が訪問調査し、成果を得た。 ○理論的深化の最高の素材として、柄谷行人氏らの<NAM>思想と実践の展開に一層注目していく必要があることあることを確認した(本科研でいう「新しい社会民主主義」の内容に最も近いものとしても)。 ○第1次大戦前後の「国際連盟」と、その提唱者W・ウィルソンの理想主義的国際協調主義の再検討の必要も再確認された。
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