研究課題/領域番号 |
11410078
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研究機関 | 聖心女子大学 |
研究代表者 |
樋田 大二郎 聖心女子大学, 文学部, 教授 (80181098)
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研究分担者 |
刈谷 剛彦 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60204658)
耳塚 寛明 お茶の水女子大学, 文教育学部, 教授 (40143333)
岩木 秀夫 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (90114389)
大多和 直樹 東京大学, 大学院・教育学研究科, 助手 (60302600)
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キーワード | 高校 / 生徒文化 / トラッキング / 多様化 / 個性重視 / 教育改革 / 学力 / 青少年の逸脱 |
研究概要 |
本研究は、1979年および1997年に、東北地方と北陸地方の同一地域のおよそ20校の教師と生徒を対象に質問紙とインタビューによる高校調査を行った。そして、今回、調査対象を絞り、2地区に焦点を当て、両地区の中核都市の全高校および市内の中学生が進学する周辺市町の高校全体に対象校を広げた上で、ほぼ全ての高校階層を網羅するサンプリングを行い補充調査を実施した。 合計30校を対象とした分析では、次のことが明らかになった。 (1)多数を占める中下位層の学校では入学者の学力にいわゆる"輪切り"状態がみられない。 (2)80年代以降の高校多様化政策の中で、とくに中下位層の学校のカリキュラムが多様で選択的なものになってきている。 (3)"楽しい授業""多様な能力をのばす"などの教育観が中下位校の教師に浸透している。 (4)中下位校では生徒の消費文化へのコミットメントが学校を楽しいものにする一方で、「あくせく勉強して良い大学や良い会社へ入っても、将来の生活に大した変わりはない」という意識を強めている。 (5)低い社会階層出身者や中下位校の生徒の間で、「あくせく勉強して……大した変わりはない」という意識が自尊心を高め、自尊心の高いことが学習時間を減らし、将来の教育アスピレーションを低める方向に作用している。
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