研究課題
基盤研究(B)
本研究では、これまで縦割り行政により体系化された施策がとられてこなかった、乳幼児の育児、家庭教育、学校内外における青少年の育成や、市民教育としての男女共同参画学習等が、「地域における子育て支援」という概念により統合されつつあることに着目し、「生涯学習」の観点から、その制度、プログラム開発及び人材養成のあり方について検討することを目的とした。具体的には、国内外で展開されている「地域子育て支援」についての新しい考え方と施策展開の状況を、学校教育、社会教育、市民による主体的取り組み、職場の支援など総合的観点から分析した。まず、平成11年度に収集した都道府県・政令指定都市から地域子育て・家庭教育支援に関する行政資料の分析をもとに先進的試みを行っている自治体を抽出し、現地調査を行った。またニュージーランド(11年度)、シンガポール(12年度)において現地調査を行うとともに、スウェーデンの地域子育て支援についても文献調査を実施した。13年度には、国内における男性の育児参加の現状と課題について明らかにするため、男性の育児休業取得者らに対するインタビュー調査を行った。日本と諸外国における地域子育て・家庭教育支援の国際比較からは、いずれの国においても家庭に対する伝統的価値観の変容や家庭の多様化への対応が焦眉の課題となっており、行政においては幼保一元化により総合的な子ども政策を実施したり(ニュージーランド、スウェーデン)、労働・社会福祉政策とも連動させながら生涯学習の観点からの親業支援が進められるようになっていることなどが明らかになった。また、市民ベースの地域子育て支援活動では国境を超えた影響関係があることを明らかにした。
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