研究分担者 |
伊藤 太一 筑波大学, 農林工学系, 助教授 (40175203)
安仁屋 政武 筑波大学, 地球科学系, 教授 (10111361)
太田 至 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (60191938)
平野 聡 筑波大学, 歴史・人類学系, 助手 (60344842)
立入 郁 長崎大学, 工学部, 助手 (30336185)
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研究概要 |
1.遊牧生態系のGIS解所:(1)グリッド型のDEM (Digital Elevation Model)を用いた従来の地形計測と分類にかわって,10mの等高線をディジタル化(ディジタル等高線)したデータを使い地形計測と分類を行う手法を開発した。(2)レンディーレランドに関して,2000年に地球観測衛星から収集された画像データを基に広域基盤地図データを作成した。(3)遊牧民定住化を空間的に捉えるため、1956年,1988年,2003年の空中写真を経時的に空間解折し,空間基盤を飛躍的に向上させた。(4)大気補正と正規化植生指標(NDVI)を加えたNOAA/AVHRRの衛星画像を用いて,1987〜1988年のレンディーレの遊牧移動と植生変動の関連性を解析した。(5)ケニア北部の旱魃モニタリングには,市場価格よりも降水量、穀物価格、子どもの栄養状況などの指標が組み込まれている。 2.遊牧社会の生活誌の解所:(1)遊牧経済は,旱魃よりも豪雨による被害の方が大きいことが判明した。(2)遊牧民の民族間関係が,遊牧移動によって流動化しうることが判明した。(3)国境をまたぐ移住の分析から,国家による政治的介入が遊牧移動につよく影響していることが判明した。(4)家畜取引の市場経済化の成否は,インフラ整備によって強く決定される。(5)集権的政府のせいりつによって,近隣民族横断的な地域社会的安全網が分断され,脆弱化されることが判明した。(6)家畜は,それぞれの個体が独自なものとして認知されている点において商品化しにくい側面をもっていること,その独自性を消去することによって商品化が始まることなどが明らかにされた。 3.遊牧圏の土地利用政策の解析:(1)一定地域を保護区として排他的に囲い込む従来の政策は,家畜や牧民の利用を許しつつ,保護区を管理するという,住民重視の政策に変更され,有害動物の移送,フェンスの設置,在地住民の生活基盤の整備などが実施され始めている。
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