平成14年度は本研究の最終年度にあたっている。そのために今年度は過去三年間の研究成果を総括するべく、東北北部の平安時代防御性集落とチャシとの関係を明らかにするため、平安時代防御性集落とチャシのそれぞれについて、その年代・構造・分布などについてこれまでに集積してきた資料の分析を行なった。 また、岩手県岩手郡西根町寺田所在の暮坪遺跡と同町荒木田所在の子飼沢山遺跡については、東北北部の防御性集落の実態を明らかにするための重要な遺跡であることから、9年間にわたって発掘調査を実施して、集落の年代や構造などについての研究を進めてきたところであるが、その精密な測量図の作成が課題として残されていたので、4月から5月にかけてその作業を実施した。 そして平成11年度から14年度にかけて行なった本研究の成果をもふまえ、東北北部の平安時代防御性集落、とくに平安時代高地性集落の実態を解明し、防御性集落出現の歴史的背景を考え、かつ平安時代防御性集落とチャシとの関係をも考察する総合的な研究書を刊行するための原稿作成を行ない、その作業もほぼ終えたところである。
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