研究課題/領域番号 |
11410120
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 兆史 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (80162246)
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研究分担者 |
西村 義樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (20218209)
ロシター ポール 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40199592)
高村 忠明 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10092256)
坪井 栄治郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40180046)
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キーワード | 文体論 / スタイリスティクス / 英語 |
研究概要 |
今年度は、英語・英文学研究の成立と専門分化の歴史に焦点を当てた。そもそもそれらの研究が成立したのは、せいぜい1世紀ほどの前のことである。古典研究に対応する英文学研究、修辞学に代わる英語学、従来の歴史研究や人文科学が結び付いた形での英学が誕生し、その研究機関・体制として英文科が設立された。その英学がどのような形で英文学研究と英語学とに別れたのかは、最終年度の研究結果を見ないとわからないが、1950年代には両者を媒介するべくStylisticsという学問が生まれているから、ほぼ半世紀ほどの間に両者の関連性が希薄になったと考えられる。 研究実績としては、まず英語・英文学・文体論関連図書を調べることにより、英学の専門分化、とくに英文学研究と英語学への両極化が起こった経緯を明らかにした。斎藤、高村、ロシターの3人は、それぞれ小説、演劇、詩が英文学研究の対象として客体化された経緯とその方法論を調べ、また西村、坪井の2名は、構造主義以降の言語学が、自らの対象をlangueに限定することにより、paroleをテクスト上に具現した文学を除外したとする通説を、近代言語学の発達史に即して検証した。さらに、R・ヤコブソンをはじめプラハ言語学派の学者たちが文学作品を対象と扱うに当たって、langue対paroleの二項対立をどのように解消したのかを調べた。さらには、アメリカの構造主義言語学を代表する生成文法に対抗する形で成立した認知言語学の理論において、生成文法においては完全に対象外とされた文学テクストがどのように扱われているか、あるいは扱われ得るかを調べた。今年度の研究成果は、斎藤著『英語の作法』(東京大学出版会、2000年)に収められた。
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