研究課題/領域番号 |
11410120
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 兆史 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (80162246)
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研究分担者 |
坪井 栄治郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40180046)
西村 義樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (20218209)
ロシター ポール 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (40199592)
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キーワード | 文体論 / 英語帝国主義 / スタイリスティクス |
研究概要 |
今年度は、昨年度に引き続き、いかにして英語・英文学研究の融合の動きが始まったかを、英文学・認知言語学・英語文体論関係図書を調べることにより、英語文体論の発達史に即して明らかにすることを目的として研究を進めた。この調査・研究の成果は、来年度にまとめて分析する予定であり、いまの段階で明確な結論は出しにくいが、仮説としては、英語学と英文学研究の乖離に危機意識を持った言語学者が文学研究に歩み寄ったと考えられる。今年度の研究成果として特筆すべきは、英語の早期教育に向けての急速な動きを受けて、英語受容史・文体論的な見地から社会的に重要と思われる提言を行なったこと、著作の出版を通じて新聞や広告などの日常的なテクストを英語文体論的手法によって読み解く方法を提示したこと、1篇の詩をめぐる作者と文体論学者との議論を通じて新しい文学解釈の可能性を提示したことが挙げられる。とくに、昨年度に引き続き、日本における英語文体論の原点とも言える「英学」において、コミュニケーションよりもいかに読み書きが重視されていたかを、長崎通詞やかつての日本の英語達人たちの実例に即して論じた研究は、まったくの試行錯誤でしかないコミュニケーション中心主義の英語教育に大いなる修正を迫るものである。このような批判や提言は、国際化と英語学習が混同されがちな今日、ますます重要性を帯びていくことは間違いなく、本研究の純学理的な部分と英語研究の社会的責任をつなぐものである。
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