研究概要 |
平成11年度の研究実施計画に基づき、「戦争と19-20世紀文学」と題するホームページを立ち上げた。このページには、中村の研究領域に関わるThe United States Civil War Center,The American Civil War Homepageおよび、佐々木の研究領域に関わるImperial War Museum,Crimean War Research Societyと連絡を取った上で、関連リンクを張った。 各研究者の研究業績について述べると、中村はその主たる研究領域である南北戦争に関して、女性史と文学の相互関係を考察する『女たちの南北戦争』、およびこの戦争についての記念碑的研究書であるエドマンド・ウィルソンの『愛国の血糊』を今日的視点から検証し直す「ウィルソンらしさ-『愛国の血糊』再読」、そして戦争の傷跡を残した南部を舞台に作品を発表し続ける小説家ウェルティを取り上げた「アメリカ南部小説の愉しみ-ユードラ・ウェルティ」を執筆した。 若島は南北戦争従軍体験を持つ作家アンブローズ・ビアスに関する論考を発表し、さらにホロコースト文学の可能性を探る論考「タイムマシン文学史-零時間に向かって」と、それに関連して、ナチ協力者としての過去が曝露されたポール・ド・マン事件に題材を取ったギルバート・アデア『作者の死』についての論考を執筆した。後の2篇は近刊の評論集『乱視読者の帰還』に収録される予定である。 佐々木は「第二次世界大戦以後の英国小説」で大戦と戦後小説の相関関係を考察し、「ディケンズと戦後英国小説の関わり」に於いて、現代作家のピーター・ケアリを取り上げ、先行テクストとしてのディケンズについて検討した。
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