研究分担者 |
高島 淳 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (40202147)
町田 和彦 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (70134749)
豊島 正之 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (10180192)
星 泉 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助手 (80292994)
峰岸 真琴 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教授 (20190712)
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研究概要 |
初年度は、研究所所蔵の活字印刷資料を基に検討を進めるとともに,プロジェクト研究会で三つの文字圏毎の特徴を各文字圏の統括担当者を中心に整理するとともに,活版印刷として共通する特徴の概要把握を行った。 この研究の主題であるデジタル化の基礎としての多言語処理基本方式の検討にあたって,18世紀初頭までの,キリスト教布教などにともなうアジア諸語を含む多言語印刷のための活字総数見本帳を収集し,電子化した。また,キリシタン版,古活字版などの資料調査及びアジアでの印刷本調査を行った。 特に,漢字資料については,別途収集・整理を進めている活字字体史資料集成をもとにJIS/ISOでの包摂基準の批判的検討を行い,同時に,明治期以降の活字総数見本帳の収集整理を行い,この結果をJIS X 0213の開発に反映させた。 また,インターネット上での特殊文字の表示を可能とするためのJava appletの開発を行い,合成済みの特殊文字の入力及び表示並びに典型的な合成文字としてチベット文字を選び,この入力及び表示を可能にするプログラムの研究開発を行った。 平成12年度は,国語審議会が発表した表外漢字字体表試案に対するパブリックコメントの意見募集に対し,研究結果を踏まえた提言を行った. 文字コード関係では,ISO/IEC 10646 UCS(Unicode)の第2版の開発に対して,研究結果を踏まえ,貢献を行った. 組版関係では,JIS X 4052日本語文書の組版指定交換形式の開発に研究成果を反映させるとともに,インターネットのWWW関連の標準を開発しているW3Cでもruby(日本語文書でのルビ)関連の仕様開発にも貢献した. また,ヘボン式ローマ字でも有名な和英語林集成の初版から第3版の電子化及び検討を行った.このヘボンの著作は,出版印刷資料として,大木昌三による上海美華書館でのウイリアムギャンブルの印刷による初版とそれ以降,日本国内での印刷へと移り,日本近代活版印刷史上の資料として興味深い資料である. また,ヘボンの資料の検討結果の一部は,2000年に出版したローマ字入力のJIS規格の開発への反映を行った. 平成13年度は,最終年度であることから,これまで収集した資料の整理を行った。 今回の研究では,主として,19世紀以降の活版印刷に関する資料を収集し,検討することによって,活字による文字印刷のさまざまな局面を検討し,その成果を文字コードなどの国際・国内規格に生かすとともに,国内の漢字の字体問題についての提言を行ってきた。
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