研究課題/領域番号 |
11420005
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
紙野 健二 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10126849)
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研究分担者 |
市橋 克哉 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40159843)
鮎京 正訓 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40126826)
福家 俊朗 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40083315)
杉浦 一孝 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 教授 (40154463)
塚田 哲之 福井大学, 教育学部, 助教授 (00283383)
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キーワード | 情報化 / 東アジア / インターネット / 民営化 / 情報公開 / 行政訴訟 / 行政改革 / データベース |
研究概要 |
今年度は、中国、台湾及び韓国において、研究課題に関連した調査を行うとともに、各国の当面する行政改革の進展状況、問題点及び今後の方向性に関する理論分析のための研究交流をおこなった。また、昨年度に続いて各国から第一線の研究者(協力者)を招いて、課題についての公法学的分析作業を行った。さらに研究代表者が事務局を務める台北での第四回東アジア行政法学会において、この共同研究の成果にもとづいて市橋克哉教授が報告を行った。今年度到達した問題意識は、以下の二点にまとめられる。 第一に、各国は、とくにこの数年の間に行政組織改革、行政訴訟制度改革及び行政手続・執行法の改革などを強い政治的指導力をもって急速にすすめており、このことの公法学的検討は、そのことの必要性は広く認識されているものの、なお本格的になされているとはいえない。ここには近代的な法治原則の確立、肥大化した組織の効率化スリム化、行政過程の民主化及び規制の緩和など雑多なものが含まれているが、国によって重点の置き所が異なっており、各国における改革の東アジアにおける特徴づけまたは類型化が可能と思われる。 第二に、行政の情報化も著しい展開を見せている。各国では共通して法制情報の電子化を推進し、HPやCDROMによって、大量の情報を利用に供するようになっている。もっとも、現段階では制定法律や命令、判例などの公的機関が作成した情報が主体であって、それに限っても情報の供給・推進主体が官か民か、独占的か競争的か、公正で正確で均衡のとれた情報か否か、というような諸問題は十分に意識されているようには思えない。情報伝達手段の発達は、行政法学があつかってきた行政組織論、法律関係論、手続論さらには民主主義論の変化にも連動してくる課題であり、このような21世紀における行政法学の再構成にもかかわるが、前近代的社会構造を多く残し、欧米の原理への「追いつき」を意識してきた東アジア諸国において、これらの課題が、どのように意識されてくるのかは、今後検討に値するであろう。
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