平成11年度〜13年度の3年間にわたる研究の初年度にあたる本年度において、まず、中国とインドの開発と環境についての概観を調査した。その結果、まずインドについて明らかになったことは、石炭を国内で産出しているため発電の85%は石炭で行っているがその石炭の中に灰を多く含んでいて環境汚染の深刻化につながっていること、州政府電力公社の経営上の問題が深刻であり、これが環境悪化の要因の一つであること、外資進出により自動車公害問題が特に都市部において深刻化し、最近デリーのNGOの圧力によって最高裁が判決を下したこと、環境政策においては、法規制の整備より施行に問題があり、それは地方の公害管理庁の検査能力の不足によるところが大きいこと、ODAにおいては中国に比べて環境案件が少ないこと、等である。中国については経済発展とともに中央政府の環境に対する取組み姿勢はより前向きなものとなりつつあるが、その法施行能力は依然限られていること、NGOや市民に対する情報の提供や言論の自由は、環境問題においても大きく限られていること、国際機関のODAのコンディショナリティが、国全体の環境改善に必ずしもつながっていないことなどが明らかとなった。なお、インドと中国の双方において現在企業(外国資本と国内資本)にアンケート調査を行うための準備を行っており、そのための現地コンサルタントの選定も行った。
|