本研究では第2フェーズに入って、日本の産業公害克服の経験が、日本企業やODAによってアジア諸国にどのようにしたら移転することができるかという点について、調査を進めた。まず日本企業が北九州などの工業団地においてどのような公害対策を行い、政策面でどのような対応がなされたか、次に住民参加がどのような形で可能となったかを調査し、その結果を中国・インドなどのアジア諸国において同様に可能にするためには、どのような面での国際協力が必要であるかがインタビューや現地調査によって明らかにされた。また外資企業が途上国において環境保全のためにどのような投資を行っているかについて、その動機と実態を現地コンサルタントの協力を得て調査を行った。その結果、米国系企業の法的な対策、欧州企業のニッチ戦略とモラルに対して日本企業の場合倫理的な要素もなことながらコスト削減が大きな要因になっていることが明らかにされた。また途上国の政策立案については、日本の経験から明らかなように住民参加の促進、地方分権化、マクロ政策と環境政策のリンクづけなどが重要であることが明らかになった。
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