研究課題/領域番号 |
11430018
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 素香 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20094708)
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研究分担者 |
星野 郁 國学院大学, 経済学部, 教授 (30199476)
岩田 健治 九州大学, 経済学研究科, 助教授 (50261483)
井上 伊知郎 九州産業大学, 経済学部, 教授 (80151603)
斎藤 智美 富士大学, 経済学部, 助教授 (00292194)
王 保林 鹿児島大学, 法文学部, 助教授 (40302070)
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キーワード | ユーロ / 国際通貨 / 円の国際化 / ユーロ金融資本市場 / 東京金融資本市場 / 為替媒介通貨 / ユーロ圏 / ヴォラティリティ |
研究概要 |
本研究は、ドイツ・マルクがヨーロッパ市場において1990年頃に為替媒介通貨となり、ヨーロッパの国際通貨として独自の発展を遂げた事例を機軸において、(1)円の東アジアでの使用の可能性を考察すること、及び(2)ドイツ・マルクとは異種の環境をもつに至ったユーロの国際通貨への発展を捉えること、(3)円とユーロとの国際的使用の比較研究を行うこと、以上の3点を目的としている。その際、ドイツ・マルクが経常取引においてではなく金融資本取引において国際通貨化した点を重視し、ヨーロッパおよび東京金融資本市場のあり方に検討の一つのポイントを置いている。 平成12年度は、ユーロの為替相場を始めすべての側面を研究するとともに、EU単一市場、中国市場に関する研究をも合わせて実施した。また井上はタイを中心に円の使用に関する実態調査を行った。 ユーロは、スタートからほぼ2年間米ドル等に対して大幅の下落を経験した。しかしユーロ域から為替相場変動を追放し、経済成長を支えた。また資本調達通貨としての力量はドルに匹敵するとの実績を示した。他方投資通貨としてはあまり利用されず、むしろユーロ域からアメリカへの資本流出が生じた。しかし01年にはアメリカの成長率が低下し、ユーロ域の成長率を下回ると見られるので、投資通貨としてのユーロの利用に関する観察が可能になろう。 円がかつてのドイツ・マルクのように東アジア地域の国際通貨となる展望はほとんどないとわれわれは見ている。なぜならドルの支配があまりに強くネットワーク外部性の点で円は競争相手となり得ない。ただし現地通貨が貿易業者・投資家レベルで使用され、それを媒介する形でドイツ・マルクが為替媒介通貨化した点との共通点を東アジアにおける現地通貨取引の増大に見ており、ここに円の国際的使用のひとつの出発点があるとの立場を発展させようとしている。 平成12年には著書刊行の準備をした。研究業績は01年9月刊行予定の著書で示すことになる。
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