研究課題/領域番号 |
11430019
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
倉澤 資成 横浜国立大学, 国際社会科学研究科, 教授 (40018057)
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研究分担者 |
本多 俊毅 一橋大学, 大学院・国際企業戦略研究科, 助教授 (70303063)
森田 洋 横浜国立大学, 経営学部, 助教授 (70239664)
秋山 太郎 横浜国立大学, 経済学部, 教授 (40167854)
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キーワード | 年金運用 / 派生証券 / 投資戦略 / アベレージ・レート・オプション / 予定利率 / 団体年金 / 株価指数連動型年金 / 個人変額年金 |
研究概要 |
(1)アメリカにおいては株価指数連動型年金、個人変額年金など、保証水準が存在する一方で、株価上昇のメリットが享受できるような年金商品の販売が増加しており、これらは今後日本でも一般化されることが予想されている。このような年金商品の商品設計、その裏にある資金運用を、満期におけるペイオフが原資産のリターンの幾何平均となるアベレージ・レート・オプションの価格付けを用いて分析した。アベレージ・レート・オプションの価格の解析解を導出し、それを用いて年金商品設計における株価追随率と予定利率の関係および年金受託者の運用戦略を導出し、商品設計やヘッジ戦略を導出した。さらに数値計算によってその商品設計や運用戦略の実務的な有効性を確認した。 (2)公的年金・私的年金を問わず大きな問題となっている予定利率の水準の設定について、生命保険会社における団体年金をモデル化し、シミュレーション分析によって分析した。年金加入者の効用を最大するように設定し、団体年金勘定の数値モデルを展開し,保険会社の行うべき最適な投資戦略と配当戦略を理論的に導出した上で、金融環境や年金勘定の自己資本比率をパラメーターとし、年金加入者にとって妥当と思われる予定利率水準を検討した。予定利率を適切な水準以上に高めると自己資本を低下させる結果を招き、年金運営の健全性を低め、顧客である年金加入者に対するコスト負担が増大するために効用が低下してしまうという結果が得られた。すなわち、予定利率が高いほど年金加入者にとって有利であるという一般的な通念に反して、年金加入者の観点から評価しても予定利率を過度に引き上げることは好ましくないことが示された。
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