研究課題/領域番号 |
11430025
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
伊藤 文雄 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (20082729)
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研究分担者 |
仙波 憲一 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (90171363)
小宮 隆太郎 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (30012107)
井手 正介 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (10316896)
堀内 正博 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (80114891)
高森 寛 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (30082671)
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キーワード | ファイナンス / 金融・資本市場の自由化・国際化 / 金融派生商品 / 実験ファイナンス(Experimental Finance) / 金融テクノロジー / カタストロフィー・リスク / 市場マイクロストラクチャー / 保険デリバティブ |
研究概要 |
平成12年度においては、平成11年度の基礎的調査および理論研究に加えて、学問領域「ファイナンス」への実験科学としてのアプローチ、Experimental Financeの可能性の研究を継続し、そこでの方法論の国際的な開発を目指してきた。その研究目的の遂行のために、米国の井尻雄士教授(Carnegie Mellon University)、John O'Brien教授(Carnegie Mellon University)、シンガポールのLim Kian-Guan教授(The national University of Singapore)、韓国のSang-Koo Nam教授(Korea University)、中国の王偉講師(復旦大学)、そして中国の史云講師(東北大学)を講師とした研究発表会を開催し、アジアの仮想金融市場の構築のためのファイナンス国際化情報集積拠点の形成に努めた。さらに、国際的な次元でのファイナンス関連の情報・知識や知的資源を共有するネットワークの構築にも努めた。 平成12年度の主な研究活動と実験は下記の通りである。 (1)オフバランス資産とディスクロージャーに関する諸問題、金融派生証券デリバティブ取引の拡大と意義、金利関連の価値評価に関する理論研究を行った。 ファイナンスの実験科学アプローチとして、仮想金融市場の形成のために、米国カーネギー・メロン大学とは継続してリアルタイムでのFASTの実験を行った。アジア仮想金融市場の構築のために中国復旦大学とコンピュター・ネットワーク構築の実験を行ったが、その接続に不安定性があり、引き続いて情報環境の整備みに努めFASTのソフトを利用して仮説の検証を継続していくこととした。 (2)5月に米国の井尻雄士教授、6月にシンガポールのLim Kian-Guan教授、8月にJohn O'Brien教授、1月に韓国のSang-Koo Nam教授(Korea University)並びに中国の王偉講師(復旦大学)、そして3月に中国の史云講師(東北大学)を招聘し、本研究課題についての研究会を開催し、先端金融テクノロジー開発の方法論のレビューを受けた。 (3)4月に研究員堀内正博教授が米国・カーネギー・メロン大学に、7月に研究員大島正嗣助手が中国復旦大学に、9月に研究員武田澄広助教授が中国・上海証券取引所に、2001年2月に研究員清水康司助教授がニューヨーク証券取引所に、3月に研究員井手正介教授がオーストラリア・マッコリー大学応用ファイナンス研究所に、3月に研究員伊藤文雄教授がカーネギー・メロン大学に、それぞれ出張し、それぞれ主要国の金融・資本市場の調査、FASTのインフラ整備及び共同研究者との意見交換を行った。 本研究は、金融・資本市場の自由化・国際化の急速な進展に伴う数々の新しい金融派生商品の市場導入、取引量の巨大化、情報テクノロジーの浸透、それに伴うファイナンス理論・知識の高度化などによる市場環境の変革に対して、ファイナンスの研究と教育の一層の充実・高度化を図るためのファイナンスの基礎的調査と理論研究に加えての学問領域「ファイナンス」への実験科学としてのアプローチ、すなわちExperimental Finance(実験ファイナンス)の可能性、そこでの方法論の国際的な開発を目指したものである。 従って、平成12年度においては、ファイナンスを取巻く環境および諸制度の情勢分析と国際金融・資本市場の動向調査、特に、保険リスク証券や保険デリバティブといった最先端金融テクノロジーの動向を調査した。保険リスクの証券化、特に,カタストロフィー・リスクと保険デリバティブに関する基礎的文献の収集と関連データの整備を行った。 国内外の金融・資本市場についての現地調査では、日本・東京、中国・上海、米国・ニューヨーク、オーストラリア・シドニーの株式市場における売買ルールの現地調査を行い、市場のマイクロストラクチャーの視点から特徴を分析し、その結果に基いてPC上で株式の売買をシミュレートするシステムの設計に着手した。
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