研究分担者 |
酒井 文雄 埼玉大学, 理学部, 教授 (40036596)
水谷 忠良 埼玉大学, 理学部, 教授 (20080492)
矢野 環 埼玉大学, 理学部, 教授 (10111410)
泉 脩藏 近畿大学, 理工学部, 教授 (80025410)
小池 敏司 兵庫教育大学, 学校教育学部, 助教授 (60161832)
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研究概要 |
写像の特異点の研究には、その方法論から大きく分けて、次の二つの方向があるというのが本研究の出発点であった。微小摂動によって改善されない特異点を分類し、写像の特異点を摂動したらそれらがどのように現れるか調べる。特異点解消を幾何的に考察し、解消する前の特異点の幾何学的情報を得る。特に特異点の族が同程度特異と言うことを特徴づける。前者の方向の研究成果については、ジェット空間内のThom-Bordman多様体(のザリスキ閉包)に着目しそれらがいつCohen-Macaulay性(と呼ばれる代数的に良い性質,代数的交点数を考える立場からはCohen-Macaulay性であるか否かを決定するのは重要な問題である)を持ち得るかを議論している。特にMorin氏の定義したThom-Bordman特異点集合(のザリスキ閉包)を非特異軌跡とするイデアルのCohen-Macaulay性をほぼ完全に決定した。更に、Ronga氏による特異点解消を考察することによりΣ^<n-p+1,1>1軌跡に台をもつ複体を構成している。これは写像芽(C^n,0)→(C^2,0)の微小摂動に現れるカスプ(A_2特異点)の個数にかかわるもので,特に,ジェット空間内の丁度Σ^<n-p+1,1>軌跡(の閉包)で零となる式を明示的に記述できる,n=2,3,4の場合は、カスプの個数の公式の明示的形を与えている。更に、特異点の不変量を計算する際の道具としてのニュートン次数環の有用性を論じた。後者の問題意識からの研究成果では、ブロー解析的な写像の研究である。解析関数の重みつき版のブロー解析的自明性定理を証明した成果解析関数をブロー解析的同値で分類する際、現れる不変量に福井の定義したものがあるが、それらの振舞の詳細な研究、やブロー解析同型の研究、それのbiLipschitz性との関連の研究等がある。位相自明性を構成する道具として層割理論(stratification theory)があるが、そこに現れた正則性条件は位相自明性よりはるかに強い条件である。前述の成果より、層割理論に現れる正則性条件は弱めることが出来ると考えられる。実際、そのような弱めた正則条件を用いた形での層割理論、重みつき正則性条件を使った理論、が建設できた。
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