研究概要 |
1.無限次元ユニタリ表現を非コンパクトな部分群に制限したときに、連続スペクトラムが現れない現象の解明(離散的分岐則の理論)をテーマに、European School on Group Theory2000の主要講師をつとめ、自身の最新の成果について2週間の連続講演を行った。さらに、包括的な枠組みに関して、ハーバード大学で連続講義を行った。講義録の出版を検討中である。その他、アメリカのOSUでの談話会や、中華人民共和国における国際会議「保型形式と表現論」での招待講演を行った。成果の一部分は論文[2]で出版した。関連した概説記事(日本数学会総合講演の論説)の英訳も準備中である(アメリカ数学会より出版予定)。 2.本研究代表者の小林俊行は、1988年ごろより「擬リーマン等質空間における不連続群」というテーマを世界に先駆けて提唱し、独自の研究を始めた。最近では、エルゴード理論やシンプレクティク幾何や表現論など多くの異分野の研究者がこのテーマに参入している。国際数学年2000に連動し、AMSとSpringerは、21世紀に向けた論説集を出版した。前者(IMU企画)ではMargulisが筆者の仕事に触れ、後者では、当該研究者がこのテーマの概説と予想を著した(文献[1])。その内容の一部は、東京大学での半年間の連続講義、アメリカのMIT、CUNY、オランダにおける国際会議「リー理論」での2時間の招待講演などでも発表した。 3.最高ウェイトをもつ表現の分規則が重複度1になるための十分条件を証明し、その成果を、ドイツにおける国際研究集会「複素解析と表現論」で招待講演(opening lecture)を行った。 4.リー群論・表現論に関する新しい結果を発表する場として,専門家向きのセミナーを,東京大学で毎週火曜日に主催し、国内外の専門家を講師に招いた。 5.国際シンポジウム「Analysis on Homogeneous Spaces」の責任編集者として、約360ページからなる論文集(寄稿者は海外10人、日本人5人)をAdvanced Study in Pure Mathematicsの1巻として出版し、成果のとりまとめを行った。
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