研究概要 |
1.研究代表者の小林俊行は無限次元ユニタリ表現を非コンパクトな部分群に制限したときに、連続スペクトラムが現れない現象が起こりうることを発見し,その定式化を与えて理由を解明した。この成果を、ハーバード大学において25回連続の解説(各回90分)で発表した。現在,講義録の出版を検討中である。さらに、離散的分岐則の理論を保型形式論へ応用し,その成果をアメリカ合衆国における国際会議「Midwest workshop in Lie theory, representation theory and automorphic forms」における招待講演で発表した。さらに,現時点における離散的分岐則の理論の全体像を,概説論文[3](アメリカ数学会より出版予定)として著わした。 2.研究代表者はOrsted教授と共同で,不定値直交群の極小ユニタリ表現を共形幾何を用いて構成し,特に,P+qが偶数のときにR^<p,q>上の超双曲型方程式の大域解の空間に自然な内積が存在することを示し,それを具体的に構成した。その成果を,アメリカ合衆国のMITでのセミナーやBerkeleyでの国際研究集会「Integral Geometry in Representation Theory」における招待講演で発表し,さらに,チェコ共和国における国際集会「Geomerty and Physics」における連続講演で詳細の解説を行った。この講演録は文献[6]として出版予定である。 3.研究代表者は1980年代後半に,一般の擬リーマン等質多様体の不連続群論を世界で最初に本格的に取り上げた。当該研究期間中,世界国際数学年2000の企画の一つとして,非専門家向けにこの分野のサーベイをし,主要な未解決問題の現状と今後の展望を紹介し,論文として発表した(文献[1],邦訳は[4]において出版予定)。さらに,関連論文を[2]で発表した。 4.研究代表者は,以前に得た「分岐則が重複度1になるための十分条件」をさらに改良し,新しく得た成果を,東京大学およびアメリカ合衆国のMSRI研究所において発表した。
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