研究分担者 |
中西 知樹 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (80227842)
太田 啓史 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (50223839)
青本 和彦 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (00011495)
林 孝宏 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (60208618)
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研究概要 |
斎藤恭司氏達により定義された楕円型リー環のよい表現論とは何かについて考察を行った。有限次元単純リー環やアファインリー環と楕円型リー環の著しい相違点は、楕円型リー環が自然な意味での三角分解を持たないことである。カルタン部分環を固定した時、有限次元単純リー環やアファイン・リー環においては、その可能な三角分解はすべてWeyl群のリー環への作用で互いに移りあっている。更に、この2つによい表現である有限次元表現および可積分表現にはWeyl群が作用し、これらの表現の構成が三角分解の取り方によらない形になっている。この事実の裏には、この2つのリー環のカルタン部分環をもつ自己同型群がWeyl群に一致する事実が備わっている。 このことにより、例としてE_8型の楕円型リー環についてそのカルタン部分環を保つ自己総計群の決定を行った。結論は、自己同型群が楕円型Weyl群のSL(2,Z)によるある拡大Г(正確にはその中心拡大)となることである。この事実の証明には、自由ボソン場による楕円型リー環の表現の構成を利用した。 この事実により、楕円型リー環gのより表現とは、対(g,Г)の表現であるとするのがよいと考えられる。この考えで上に上げた自由ボソン場による表現を注意深く考察し、アファイン・リー環のレベル1表現に相当する表現とその構造を調べることができた。楕円型リー環においては、その中心が2次元であり、SL(2,Z)が自然に作用する。このことにより、上に構成した表現においては、中心電荷は互いに素である2つの整数の組(p,q)によって表され、SL(2,Z)はこの組に自然に作用する。もともとこの研究は、1994年出版されたSeiberg-WittenによるN=2super Yang-Mills理論の厳密解の質量のある場合を有理楕円曲面の周期理論と関連づけて展開するという考え方との関連で始めた。この場合重要になるのは上記の自己同型群Гに関する保型関数論である。Гの保型関数論と上記表現論との関連は現在考察中である。
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