逆問題の解の安定性と再構成について

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11440025
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 山本 昌宏 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (50182647)
• 研究分担者: 加古 孝 電気通信大, 情報工学, 教授 (30012488) ; 牛島 照夫 電気通信大, 情報工学, 教授 (10012410) ; 河原田 秀夫 千葉大学, 工学部, 教授 (90010793) ; 久保 雅義 京都大学, 情報学, 講師 (10273616) ; 磯 祐介 京都大学, 情報学, 教授 (70203065)
• キーワード: 安定性 / 逆問題 / 自由境界問題 / 有限要素法 / 多倍長計算 / カールマン・フィルター / 幾何形状決定 / 係数決定

研究概要

逆問題の新たな再構成法をめざす本研究課題の有意義な遂行のためには、数理解析ならびに数値解析双方の有機的な研究が必要である。本年度は逆問題として、偏微分方程式の係数決定逆問題や非破壊検査と結びついた幾何形状決定逆問題に焦点を絞り、研究代表者である山本昌宏、分担者である加古孝、斎藤三郎、中村玄、池畠優、田沼一実、久保雅義によって以下のような研究がなされた。
(a)係数決定問題の安定性の研究:山本昌宏、斎藤三郎、久保雅義
(b)幾何形状決定逆問題:中村玄、池畠優、田沼一実
(c)数学解析の数値解析手法の開発への応用:山本昌宏、加古孝。
逆問題における解の再構成のために必要となるさまざまな正則化手法については以下の分担によって新たな方法論を研究し、実際の数値計算への応用を試みた。特に本年度からは(e)による新たな計算手法について取り組みを開始した。
(a)自由境界問題の方法の逆問題への応用:河原田秀夫、木村正人
(b)有限要素法による逆問題解析:牛島照夫、大西和榮、三好哲彦
(c)多倍長計算による逆散乱問題における安定化手法:磯祐介
(d)逆問題のカールマン・フィルターによる解析:登坂宣好。
(e)モーメント法ならびにRadial basis functionによる解析:山本昌宏。
京都大学などにおいて本研究課題による成果の討議のため研究連絡会を行った(平成12年11月27日-11月30日、平成13年3月6日-3月8日)。なお、成果を国際的視野の下で捉えるため、欧米における国際会議への参加、研究発表や中国、アメリカ、ロシアにおける当該分野の研究者によるレビューも受けた。

研究成果

• [文献書誌] Cheng,J.,Yamamoto,M.: "One New strategy for a priori choice of regularizing parameters in Tikhonov's regularization"Inverse Problems. 16. L31-L38 (2000)
• [文献書誌] Cheng,J.,Yamamoto,M.: "The global uniqueness for determining two convection coefficients"Inverse Problems. 16. L25-L30 (2000)
• [文献書誌] Saitoh,S.,Yamamoto Vu.Kim Tuan: "Reverse weighted L^P-norme inequalities in convolutions"Journal of Inequalities in Pure and Applied Mathematics (JIPAM). 1. 1-7 (2000)
• [文献書誌] Bruckner,G.,Yamamoto,M.: "Determin ation of point wave sources by point-wise observations"Inverse Problems. 16. 723-748 (2000)
• [文献書誌] Bruckner,G.,Yamamoto M.: "On a noisy operator equation and the identification of point sources"ZAMM Z.Angew.Math.Mech. 80. 377-388 (2000)
• [文献書誌] 山本昌宏: "非破壊検査の数理"応用数理. 2000-6. 5-15 (2000)
• [文献書誌] 磯祐介,大西和榮,登坂宣好: "工学系の基礎数学"彰国社. 304 (2000)
• [文献書誌] Nakamura,G.,Saitoh,S.,Yamamoto,M.: "Inverse Problems and Related Topics"Chapman Hall/CRC. 233 (2000)