研究分担者 |
志賀 啓成 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10154189)
村田 実 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (50087079)
舟木 直久 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (60112174)
白井 朋之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70302932)
盛田 健彦 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00192782)
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研究概要 |
1.Gibbsの古典的統計力学において、到達半径有限でsuper-stability条件を満たす2体ポテンシャルの場合、圧力関数が大数の法則によるビリアル表示を持つことを空間次元一般の場合に証明した[K.Uchiyama, Pressure in classical statistical mechanics and interacting Brownian particles in multi-dimensions, Annales Henri Poincare(J. Theor. Math. Phys.)1, 1159-1202(2000)]。これは一種のビリアル定理で,Gibbs測度の一意性を仮定すれば(1次元系、あるいは多次元の高温域であればよい)すでにその証明は知られていたが,一意性を仮定せずに証明したのは本研究が初めてである.このビリアル定理はHamilton系の流体力学極限を導く時に重要な役割を果たす.本研究ではそれを2体ポテンシャルにより相互作用するブラウン粒子系に応用し,その流体力学極限を経験分布密度の3次モーメントの一様有界性の下に証明した。 2. 1次元古典的粒子系のスケール極限として得られた局所的でない1次元の発展方程式について調べた.基本的な結果としては解の存在と一意性,最大値原理、解の積分量についての比較定理、任意初期関数を持つ解のBarenblatt解への収束等である。特に右辺に現われる特異積分項が対数ポテンシャルによる場合は解の解析性、時間変数を大きくしたときの漸近挙動等について精密な結果を得た[K.Uchiyama, Behavior of solutions to the initial value problem for a class of integro-differential equations, Nonlinear Analysis (2001).]。これらの結果により,スケール極限に関するこれまでの研究と合わせて,long potentialにより相互作用する古典的粒子からなる1次元系の微視的モデルが巨視的スケールでどのように見えるかが明らかにされた。
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