偏微分方程式に対する非標準的な有限要素近似解法の研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11440027
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: 電気通信大学
• 研究代表者: 加古 孝 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (30012488)
• 研究分担者: 菊地 文雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40013734) ; 河原田 秀夫 千葉大学, 工学部, 教授 (90010793) ; 大塚 厚二 広島国際学院大学, 工学部, 教授 (30141683) ; 中尾 充宏 九州大学, 大学院・数理学研究科, 教授 (10136418) ; 田端 正久 九州大学, 大学院・数理学研究科, 教授 (30093272)
• キーワード: 有限要素法 / ヘルムホルツ方程式 / 放射境界条件 / 精度保証付き計算 / 固有値問題 / 多層流 / 混合法 / 地球マントル対流

研究概要

本研究の目標は、非標準的な有限要素法に内在する数学的諸問題を明らかにしてその解決をはかり、現象の「予測・設計・制御」へ向けた応用の基礎を確立することである。このための研究交流・情報交換の活動として、8月に研究集会「数値解析研究の最前線」を開催し、年末には応用数学科研費合同研究集会を共催した。また、エジンバラで開催された「国際応用数学者会議」に参加し研究発表と情報交換を行い、10月には「第12回領域分割法国際会議」で招待講演を行うと共に、サテライトシンポジウムを開催し、諸外国の参加者から領域分割法の最新の研究動向についてレビューを受けるなど情報収集に努めた。
次に、本年度の研究実績として、研究代表者の加古は、外部無限領域へ接続する有界領域での波動伝播について、近似解の構成法と解の存在と収束性を示し、音声合成への応用を考究した。また.シェルと音場の連成振動問題について、本研究費で購入した並列計算機を有効に利用して数値計算を行った。研究分担者では、中尾と山本は、定常ナヴィエ・ストークス方程式に対し、精度保証付き数値計算の定式化と検証を行った。大塚は、「数値破壊解析システム」の開発で成果を挙げた。牛島は、有限要素・基本解近似結合解法の有効性を研究した。河原田は、海岸への油の付着浸透現象の数理モデルの構築、数値計算とその応用を研究した。竹田と福原は,.階層型ニューラルネットワークによる偏微分方程式の近似解法の研究を進めた。三好は、亀裂の伸展方向と曲率を定める式を提案し、その性質について議論した。菊地は、板曲げ問題などで新要素の開発と数値的応用例を与えた。小山は、波動方程式に対する新たな人工境界条件を見い出した。張は、大規模線形計算に対する新しい反復法を提案し収束の必要十分条件を得た。田端は、表面張力を考慮した非定常非圧縮性流体の自由境界問題の有限要素スキームを構成し解の誤差評価を与えた。

研究成果

• [文献書誌] KAKO, T.and KANO, T.: "Numerical simulation of wave propagation phenomena in vocal tract and domain decomposition method"Proceedings of the 11th International Conference on Domain Decomposition Methods in Greenwich, UK. 267-269 (1999)
• [文献書誌] 加古孝、加納知聡: "定常波動問題にたいする領域分割法とその応用"京都大学数理解析研究所講究録. 1129(掲載予定). (2000)
• [文献書誌] Nakao, M.T.,Yamamoto, N.and Nagatou, K.: "Numerical verifications of eigenvalues of second-order elliptic operators"Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics. 16. 307-320 (1999)
• [文献書誌] Nagatou K.,Yamamoto, N.and Nakao, M.T.: "An approach to the numerical verification of solutions for nonlinear elliptic problems with local uniqueness"Numerical Functional Analysis and Optimization. 20. 543-565 (1999)
• [文献書誌] Watanabe, Y.,Yamamoto, N.& Nakao, M.T.: "A numerical verification method of solutions for the Navier-Stokes equations"Reliable Computing. 5. 347-357 (1999)
• [文献書誌] 大塚厚二: "楕円形混合境界値問題における境界及び接合点に関する形状微分とその数値解析"日本応用数理学会論文誌. 9. 77-94 (1999)
• [文献書誌] Ohtsuka, K.,Pironneau, O.and Hecht, F.: "Theoretical and numerical analysis of energy release rate in 2D fracture"Information. (掲載予定). (2000)
• [文献書誌] Kawarada, H.and Suito, H.: "Hybridized Fuzzy and GAs Distributed Optimization Method"Proceedings of EUROGEN99,Jyvaskyla, Finland. 95-99 (1999)
• [文献書誌] Kanayama, K.,Kikuchi, F.: "3-D eddy current computation using the Nedelec edge elements"Information. 2-1. 37-45 (1999)
• [文献書誌] 阿部邦美,緒方秀敏,杉原正顕,張紹良,三井斌友: "特異な係数行列をもつ連立一次方程式に対するCR法の収束性"日本応用数理学会論文誌. 9巻1号. 1-13 (1999)
• [文献書誌] Itakura, K.and Tabata, M.: "An error analysis of streaklines as curves"Japan Journal of Industrial and Applied Methematics. 16. 1-23 (1999)
• [文献書誌] Suzuki, A.,Tabata, M.and Honda, S.: "Numerical solution of an unsteady earth's mantle convection problem by a stabilized finite element method"Theoretical and Applied Mechanics. 48. 371-378 (1999)
• [文献書誌] Edited by T.Kako and T.Watanabe: "Proceedings of 1998-Workshop on MHD Computations "Study on Numerical Methods related to Plasma Confinement""National Institute for Fusion Science (NIFS). 211 (1999)
• [文献書誌] 菊地文雄: "有限要素法概説[新訂版]"サイエンス社. 184 (1999)