研究分担者 |
井原 俊輔 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (00023200)
築地 立家 名古屋大学, 情報文化学部, 助手 (70291961)
安本 雅洋 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 教授 (10144114)
松原 洋 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (30242788)
松本 裕行 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (00190538)
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研究概要 |
量子計算の数理モデルに関する情報数理解析学的研究を行った結果,次の研究成果をえた. 1.量子オラクルの概念の基礎付けのために,実効的に計算可能な量子オラクルをもつオラクル量子Turing機械を,オラクルを持たない量子Turing機械で模倣することができるかという問題を研究した.この問題に対しては,Bennett, Bemstein, Brassardたちの結果とAharonov, Kitaev, Nisanたちによる結果が知られているが,本研究では,オラクルが一般のユニタリ変換を実行するという仮定と,クエリー状態と非クエリー状態の重ね合わせに遷移することも許すという仮定の下で,完全に一般的にこの問題を研究した.その結果,次の結果を得た.(1)量子Turing機械Mで多項式時間に計算可能なユニタリ変換Uに対して,MにオラクルUを付随させたオラクル量子Turing機械をある多項式p(x)の遅延で模倣する多項式時間量子Turing機械が構成できることを証明した.(2)上の結果を応用して,EQP, BQP, ZQPのロパスト性を完全に一般的な仮定の下で証明した. 2.測定装置が間接測定のモデルを持つこと測定による条件付き状態変化が完全正超作用素値測度で表現されることが同等であることが,1984年に小澤によって証明されたが,この定理を精密化して,縮退のない離散オブザーバブルの測定によって生じる可能な条件付き状態遷移を完全に特徴づけるために,この場合には,次の条件がすべて同等であることを証明した.(1)継続測定の出力の結合確率分布が初期状態にアフィンに依存する.(2)装置は間接測定のモデルを持つ.(3)状態変化は正超作用素値測度で表現される.(4)状態変化は完全正超作用素値測度で表現される.
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