研究課題/領域番号 |
11440029
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
長田 博文 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (20177207)
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研究分担者 |
千代延 大造 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助手 (50197638)
服部 哲弥 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (10180902)
市原 完治 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (00112293)
篠田 正人 奈良女子大学, 理学部・数学教室, 講師 (50271044)
植村 英明 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (30203483)
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キーワード | 拡散過程 / ディリクレ形式 / フラクタル / Sierpinski Carpet / パーコレーション / 等周不等式 |
研究概要 |
長田は本年度Sierpinski Carpets上の拡散過程の構成に関する仕事の一部を論文の形にまとめた。この仕事は、当研究課題の出発点となるもので、特異な測度に関するDirichlet形式を考えることで、Sierpinski Carpetsのようなフラクタル集合に拡散過程を構成し、その性質、たとえば遷移確率の評価や非退化性を等周定数を用いた方法で調べようというものである。また、これとは別に、特異な測度に対するHarnackの不等式を証明し論文にまとめた。手段としてはMoser iterationをつかうもので、古典的な議論だが、これは前述の論文に用いるための必要から書いたものである。同時にここでは、測度がルベーグ測度と違いきわめて不均質な状態、いわゆるdoubling conditionを満たさない場合を扱うため、局所的なソボレフの不等式やその他の量のHarnackの不等式への依存性が、問題になるが、その依存性を明確にした。この点は、次の仕事で、このような拡散過程の短い時間での遷移確率の奇妙な振る舞いを考察するときに用いられるはずである。 篠田はSierpinski Carpetsを含む広い範囲のself-similarフラクタル上のパーコレーションについて、critical probabilityが1より真に下がるということを証明した。これは、Sierpinski Carpetsについてはすでに知られていたが、かれはそれを従来とは異なる方法できわめて広い範囲まで拡張した。じつはこの問題について、等周次元が正ということ同値ではないかという予想があり、篠田はそれに向けて更に考察を続けている。
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