研究分担者 |
小澤 徹 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70204196)
谷島 賢二 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (80011758)
黒田 成俊 学習院大学, 理学部, 教授 (20011463)
勘甚 裕一 金沢大学, 工学部, 教授 (50091674)
野口 潤次郎 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (20033920)
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研究概要 |
研究代表者は,負曲率多様体上のLaplacianに関する調和解析の研究を行い,いくつかの重要な結果を得た.負曲率多様体上のLaplacianは,理想境界のすべての点で退化する2階楕円型偏微分作用素の最も重要な例の一つである.得られた結果は次のものである.(M,g)をその断面曲率が二つの負の定数ではさまれたHadamard多様体とする.G(x,y)をM上のGreen関数とし,M上のBorel測度μに対してG〔μ〕をそのGreen potentialとする.μ_0を1/G(o,x)dμ(x)とする.本研究の中で得られた最も重要な定理は次のものである.定理 (1),(2)は同値である:(1)G〔μ_0〕は漸近的に有界である.(2)μはCarleson測度であり,条件(F)を満たす.(F)はある種のGreen potentialの局所的な条件であり,詳しくは裏面の新井の論文を参照してほしい.この定理からLittlewood-Paley型測度とBMO関数に関する結果も得られた.さらに,特筆すべきことは,多様体上のBloch関数論を創始したことである.新井はある幾何的な考察から古典的な調和Bloch関数の定義を一般のRiemann多様体に拡張し,非負曲率の場合は線形増大調和関数になるが,負曲率の場合は,重複対数増大度をもつことをし示した.また上述の成果を元にして負曲率の場合の発展的な議論を展開し,BMOとの関連を論じた.黒田,谷島はSchrodinger方程式について,勘甚は特殊関数に関数Hardy不等式,野口は復素幾何に関する重要な貢献をした.また小澤はNLSに関する多くの成果を得た.これらの成果は論文として発表または発表予定である.今年度の収穫は極めて大きかったといえよう.
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