研究課題
今年度は、主に2個のテーマについて研究した。ひとつは、多変数直交多項式におけるLR-変換と直交多項式の接続関係式についてである。1変数の場合に、LR-変換は固有関数展開における密度行列のことばで、線形ないし射影変換として表現されることを明らかにしているが、これを多変数に拡張することは困難を伴う。多変数直交多項式に辞書式順序が導入できるならば、この順序に関してガウス分解が考えられる。スペクトル領域上のあるラドン測度を密度とする、この辞書式順序による直交多項式の系を考える。スペクトル領域上のひとつの正値多項式は掛け算作用素としてこの直交系に線形に作用する。これが、一方では直交多項式の接続関係式を、他方では固有方程式を定義する差分作用素のLR-変換を与えることを証明した。この基本的事実を、Koorwinnder多項式に適用して明示的な公式を得た。これらの結果を、2001年8月Augsburg大学で開かれた、差分方程式のワークショップで発表した。また、2002年1月に、東北大学数学教室談話会でも講演した。もうひとつは、n次元球面内の(n-1)次元超球面配置に附随する超幾何積分のガウス・マニン接続についてである。私は、すでに1982年にこのテーマについて論文発表しているが、いくつかの誤りを含んでいることを発見、それを修正すること及びさらなる精密化と簡易化をめざした。この結果を2002年1月、ルイジアナ大学での超平面配置に関するワークショップで発表した。
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