研究分担者 |
上木 直昌 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80211069)
日野 正訓 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40303888)
吉田 伸生 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40240303)
高信 敏 金沢大学, 理学部, 助教授 (40197124)
会田 茂樹 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (90222455)
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研究概要 |
無限次元空間での確率解析に関わる問題を扱うとき,半群やDirichlet形式は有効な道具を提供している.確率過程から定まる半群はスカラー関数に作用し,扱い易いものであるが,幾何学的な考察を行う場合は微分形式のようなベクトル値の関数を扱う必要が出てくる.そこでこれらのベクトル値に作用する半群を対象として,スカラー関数に作用するマルコフ半群との比較定理を考察し,平方場Γによる判定条件を与えた. 比較定理や,交換定理はさまざまな場面で有効であるが,そのひとつの例として生成作用素の定義域を完全に決定するときに交換定理が使えることを注意した.具体的な問題としてスカラーポテンシャルを持つSchrodinger作用素の定義域を求めることが出来る.別の応用としてLittlewood-Paleyの不等式とRiesz変換のL^P連続性の証明がある.この不等式は生成作用素の平方から定まるとグラディエントから定まるL^Pノルムの同値性に関わっている.特にここでは境界のあるリーマン多様体の場合を考察し,Riesz変換のL^P連続性を示した.境界があることが問題を難しくするが,境界の局所時間から定まる乗法的関数を用いてFcymnan Kac型の変換を行い,比較定理により1次微分形式に働くHodge-Kodaira Laplacianから生成される半群を上から押さえる方法で問題を解決した.またグランディエント作用素と半群の交換定理もノルムの同値性示す上で基本的である.このような交換関係は従来らか使われていたが,証明には半群が滑らかな核関数で表されていることを使っていたが,一般的に取り扱えることが分った。
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