研究課題
基盤研究(B)
本研究では、その研究計画を立てる時点でその目標をかなり高い所に設定した為、その研究計画の全てが実行出来たわけではない。実際に研究を進めるに当たってコンパクト型の量子多様体ではあるが量子四次元球面の考察を量子対称空間という観点から考察し、その結果量子対称空間としては得られない量子四次元球面の具体的な構成及びその上の基本となる量子ベクトル束を構成する事に成功し、研究論文として発表した。この研究方向でも今後更に基本的かつ重要な問題が山積しており、その背後に控えていると考えられる非コンパクト型の量子多様体の具体的な研究がなされなければならない事が明確となった。またこの量子四次元球面の問題と平行してその巡回コホモロジーの具体的な計算の必要があったが、その計算は手計算では余りにも膨大であった為に我々は今迄通常は数学の研究に使用された実績がない新しいタイプの電子計算機の使用を試みたが、この研究はその電子計算機の調整の問題も含めて未だに未完成の状態である。その一方で、非コンパクト型量子群の既約ユニタリー表現を関数解析学的に安全に扱う為の枠組みとしての局所コンパクト量子群の一般論の構成は長年の研究を経てようやく完成し、つい最近フランスの専門誌に投稿する運びとなった。この研究成果を基にして非コンパクト型の量子群の中でも特定のものであり、かつ具体的に記述されているものの詳細なる研究がようやく可能となったと考えられる。
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