研究分担者 |
谷口 雅彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50108974)
上田 哲生 京都大学, 総合人間学部, 教授 (10127053)
宇敷 重広 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (10093197)
志賀 啓成 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10154189)
辻井 正人 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20251598)
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研究概要 |
平成12年度の本研究においては,1次元および高次元複素力学系を,関数論,タイヒミュラー空間論,実力学系,エルゴード理論の立場から研究し,以下のような進展があった。まず1次元力学系については,そのくりこみの性質と,実1次元力学系との関係について研究した。特に,State University of New YorkのM.Lyubich氏を招聘し,彼の擬2次多項式写像の空間のLamination分解に関する知識を提供してもらい,研究の最前線とその問題点について議論した。ここから,宍倉と辻井の研究により,放物点をもつ写像付近でのLamination構造についての問題が明らかになり,実1次元単峰写像の単調性予想との関連が明らかになった。また,実1次元力学系については,Axiom A系のC2級稠密性が研究協力者,沈によって明らかになった。超越関数の力学系については,谷口により構造有限という概念が定義され,そのクラスの関数の力学系的性質が,谷口,諸澤,木坂らによって明らかにされ始めた。指数関数の力学系については,University of MunchenのD.Schleicherと宍倉との議論の結果,有理関数の場合のThurston理論が指数関数にも拡張できることが示された。宇敷は複素Ruelle作用素の種々の性質を調べた。 高次元の力学系に関しては,上田,宍倉の研究により,射影空間上の正則力学系に対する完全不変多様体が超平面の和に限ることが多くの場合(特に2次元ではいつも)に示された。また,宍倉とJohns Hopkins UniversityのB.Shiffmanは,楕円関数を応用して新しい特異有限な例を構成した。 以上の結果成果のいくつかは国内国外(特にブラジルでの力学系研究集会と香港でのアメリカ-香港数学会)で発表された。
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