研究分担者 |
国府 寛司 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50202057)
盛田 健彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (00192782)
志賀 啓成 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (10154189)
小野 薫 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20204232)
田中 和永 早稲田大学, 理工学部, 教授 (20188288)
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研究概要 |
今年度の研究によって得られた成果の主なものを以下に述べる. 1.ハミルトン系に関連して,伊藤は一般の力学系の可積分性を第一積分の存在と可換なベクトル場の存在の観点から研究し,ベクトル場の非共鳴な楕円型特異点における標準化の収束性と可積分性の同値性を示した.これはPoincareの渦心問題に対する解答を与えるものである. 2.複素力学系に関して,志賀は有理写像の正則族を考え,それがあるパラメータ空間上で有限個しかない条件を考察するとともに,そのような族がpunctureのまわりでどのような振る舞いをするかを決定した. 3.エルゴード理論に関して,盛田は日食が生じないように配置された,平面内の3個以上の狭義凸領域の外部領域における撞球力学系のゼータ関数について,実部がある負の数より大きくなる半平面での有理接続可能性を示した.また,その力学系ゼータ関数の原点での特殊値を決定し,それが障害物の個数をあたえる不変量であることを確かめた. 4.力学系の分岐理論に関連して,国府がConley indexの理論を特異摂動的ベクトル場に対して拡張する試みとして,transition matrixを有用な形に改良すること,およびslow-fast systemと呼ばれる系について,connection orbitの存在を保証するための代数的あるいは位相的な条件を見い出した. 5.変分法の研究として,田中は平面上で二つの特異点をもつポテンシャル関数によって定義されるハミルトン系に対して,変分法的手法によって非有界でカオス的な軌道の存在を示した. 6.シンプレクティック幾何に関連して,小野が周期的ハミルトン系について,倉西構造や多価摂動の構成を見直すことによって,そのZ-係数のFloer homologyを構成することに成功した.
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