A型特異星・こと座RR型星・早期型星における特異脈動の統一的描像の構築とその検証

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11440061
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 柴橋 博資 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30126081)
• キーワード: A型特異星 / 早期型星 / こと座RR型星 / 脈動星 / 磁変星 / Blazhko効果 / 斜回転星

研究概要

A型特異星の特異脈動、こと座RR星型変光星のBlazhko効果、それに早期型星βCepheiに見られる振動が、星に強い双極子磁場があるとし、更に磁場が星の自転軸に対して傾いているとすると考えることによって、統一的に同じ描像で解釈出来る事を示した。
まず、A型特異星の特異脈動について、強い双極子磁場があるとし、更に磁場が自転軸に対して傾いているとして、脈動の基本的性質を説明した。脈動の解析から、磁場・自転軸・視線の幾何学配置、自転周期、磁場の強度を決定出来ることを示した。
ついで、顕著な動径振動モードの振動数を含む振動数が等間隔の5つの振動モードと、それに近い振動数の四重極非動径振動モードで振動している早期型星βCepheiについて、星に強い双極子磁場があるとし、更に磁場が自転軸に対して傾いているとして、5重項を説明した。そして、5重項の振幅比から、磁場・自転軸・視線の幾何学配置、自転周期、磁場の強度を決定した。磁場の強度については、独立した観測から、この決定が正しいことが確認された。更に、四重極非動径振動モードの振動数と、動径振動である5重項の中心項の振動数の関係から、星の進化段階とモードを、諸物理の不定性を考慮して、同定した。
更に、こと座RR星型変光星のBlazhko効果について、星に強い双極子磁場があるとすると、動径脈動はもはや球対称ではありえず、その固有関数は四重極非動径振動成分を持つようになることに着目し、磁場が自転軸に対して傾いている状況を考えて、Blazhko効果を、単一のモードの振動の振幅が、見かけ上、磁場と自転によって変化することで説明した。

研究成果

• [文献書誌] Sekii,T. et al.: "Local-area Helioseismology by SOT On-board Solar-B"in Proc.of SOHO 10/GONG 2000 Workshop : Helio- and Asteroseismology at the Dawn of the Millennium, eds.A.Wilson (ESA Publication Division, Noordwijk). (in press). (2001)
• [文献書誌] Shibahashi,H.: "The Oblique Pulsator Model for the Blazhko Effect in RR Lyrae Stars"in The Impact of Large-Scale Surveys on Pulsating Star Research, IAU Colloq.No.176, eds.L.Szabados & D.W.Kurtz (Astron.Soc.Pacific, San Fransisco). 299-306 (2000)
• [文献書誌] Shibahashi,H.: "Asteroseismology of Magnetic Stars"in Proc.of SOHO 10/GONG 2000 Workshop : Helio- and Asteroseismology at the Dawn of the Millennium, eds.A.Wilson (ESA Publication Division, Noordwijk). (in press). (2001)
• [文献書誌] Shibahashi,H.,& Aerts,C.: "Asteroseismology and Oblique Pulsator Model of β Cephei"Astrophys.J.Letters. 531. L143-L146 (2000)
• [文献書誌] Shibahashi,H. et al.: "Helioseismic Approach to the Solar Neutrino Problem and Neutrino Oscillations"in Neutrino Oscillations and their Origin, eds.Y.Suzuki,M.Nakahata,M.Shiozawa,& K.Kaneyuki (Universal Academy Press, Tokyo). 215-226 (2000)
• [文献書誌] Takata,M.,& Shibahashi,H.: "Solar Metal Abundance Inferred from Helioseismology"in Recent Insights into the Physics of the Sun and Heliosphere, -High- lights from SOHO and Other Space Missions - IAU Symp.No.203, eds.P.Brekke,B.Fleck, & J.B.Gurman (Astron.Soc.Pacific.San Fransisco). (in press). (2001)
• [文献書誌] Watanabe,S.,& Shibahashi,H.: "Low-Z Core Solar Models with Helioseismic Constraints and the Solar Neutrino Problem"in Proc.of SOHO 10/GONG 2000 Workshop : Helio-and Asteroseismology at the Dawn of the Millennium, eds.A.Wilson (ESA Publication Division, Noordwijk),". (in press). (2001)