研究課題/領域番号 |
11440062
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
尾中 敬 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143358)
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研究分担者 |
松原 英雄 宇宙科学研究所, 宇宙圏研究科, 助教授 (30219464)
田辺 俊彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90179812)
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キーワード | 分光観測 / 赤外線 / 衛星観測 / 星間有機物質 / 星生成活動 / 系外銀河 / 光解離加熱 |
研究概要 |
本年度は宇宙赤外天文台ISOの系外銀河の赤外線カメラのデータ解析を中心に行い、長波長分光器のデータとの関係を調べた。まず中間赤外線の7ミクロンと15ミクロンの銀河内の分布について、約10個の銀河について詳細に検討し、(1)多くの銀河では、7から15ミクロンにかけての銀河全体スペクトルエネルギー分布(SED)が、中心部の限られた領域での特徴で決まっていること、(2)棒構造を持っている銀河では、中心部で15ミクロンの強度が強くなる傾向があること、(3)しかし、一部の銀河については、広がった領域でSEDの変化が見られるものもあり、中間赤外のスペクトルが、比較的時間尺度の短い活動度を示していることを見いだした。さらに種々の系外銀外についての中間赤外から遠赤外までのSEDを求め、我々の銀河系内のデータも含め、温度揺らぎを考慮した星間塵の赤外線放射モデルの予想と比較した。この結果、100ミクロンより長波長の遠赤外のSEDと12ミクロンあるいは赤外線未同定バンドとの関係は、理論モデルで十分説明できるものの、25ミクロンから60ミクロンの間のSEDについては、我々の銀河系の観測と系外銀河の観測を理論モデルで統一的に説明することができないことが明らかになった。そこで、次に我々の銀河系の観測値に基づき経験的なSEDを導き、その積分として系外銀河のSEDを評価した。理論モデルは、25ミクロンと60ミクロンの放射が入射放射強度と比例することを予想するが、観測的には、適当な放射強度まで強度の2乗に比例し、その後減少する性質を示す。この傾向を仮定すれば、我々の銀河系と系外銀河の赤外線SEDをつじつまをあわせて説明できるモデルが構築できることを示した。この入射放射強度に対する依存性は、単純な温度揺らぎのモデルでは説明できないが、粒径分布に偏りのある星間塵モデルを仮定すれば説明できる可能性がある。以上、本研究の主目的である系外銀河の中間赤外線の特徴を統一的に理解する経験的モデルを得ることに成功した。
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