研究課題
基盤研究(B)
本研究は3年計画で太陽系の外縁部の小天体の探査の手法の確立とその応用による発見をめざしたものである。初年度には主に東京大学理学部天文学教育研究センター木曽観測所のシュミット望遠鏡での探査のための周辺機器を整備し、探査観測がスムーズに行えるようにした。翌年度以降には実際に同望遠鏡、および国立天文台ハワイ観測所のすばる望遠鏡の主焦点カメラを利用した太陽系外縁部小天体の探査サーベイを遂行すると同時に、探査したデータから小天体を発見する解析ソフトウェア(自動検出プログラム)類の開発を行った。その結果、木曽では悪天候および気象条件の不良にたたられ、トータル約40平方度のサーベイを遂行したに留まり、残念ながら新たな小天体を発見することはできなかった。しかしながら、この観測はすばる望遠鏡での観測の非常によい事前準備となり、解析ソフトウェアの確立にとってデータを提供した。一方、2年次から始めたすばる望遠鏡による探査サーベイ観測では、約1平方度のサーベイを実施することができ、合計14個の新たな小天体の発見ができた。これは世界的に見て発見効率ではトップの成績であった。最終年度には、自動検出プログラムにさらに改良を加え、いくつかの新たな天体を発見した。これら一連の成果によって、日本の太陽系外縁部探査の基本的な枠組みと手法はほぼ確立したと言える。これらの成果は、論文として発表を予定しているほか、最終年度等にフランスで開催された外縁部小天体の国際会議、およびスペインで開催された彗星・小天体の研究会などに参加し、それぞれ報告したものである。(以上)
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