研究概要 |
1.ブルックヘブン国立研究所でのハイパー核ガンマ線分光実験(BNL E930)の後半部分の実施が2001年春に決まったため、これに備えた検出器の改良を行なった。Ge検出器をさらに高計数率に強くするため、プリアンプのゲインを極端に下げる改良を行なった。ゲインの低下によって飽和してリセットがかかる回数を減らし、高計数に強くなると期待される。また、E930で用いる磁気スペクトロメーター磁石の磁場計算を行ない運動量分解能を向上させるとともに、測定器系の強化のための検討を行なった。また、将来のGe検出器の増強やBGO検出器の改良のための種々のデザインを行なった。 2.2001年後半以降にKEKで行なう実験の基本的デザインを行なった。SKSスペクトロメーターを用いた(π^+,K^+)反応によって^<10>_ΛBのM1遷移確率の測定が可能であることがわかった。 3.これまでのハイパー核ガンマ線分光実験(KEK E419,BNL E930)のデータ解析を行なった。初めてのハイパー核精密ガンマ分光実験であるE419については、解析が終了し最終結果がまとまった。基底状態二重項間のΛスピン反転のM1遷移(3/2^+→1/2^+)のエネルギーからΛ核子間のスピンスピン力を求めることに成功し、また、E2(5/2^+→1/2^+)遷移確率を測定しΛによって原子核が19%も縮んでいることがわかった。さらに、これら2つの他に別の2つのM1遷移を発見した。E930の^9_ΛBeのデータ解析もさらに進められた。Λのスピン軌道力で分岐する2つのレベル(3/2^+,5/2^+)からのE2遷移が観測され、これらのレベル間隔が非常に小さいことがはっきりした。
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