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2001 年度 実績報告書

ハイパー核の精密ガンマ線分光

研究課題

研究課題/領域番号 11440070
研究機関東北大学

研究代表者

田村 裕和  東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10192642)

研究分担者 高橋 俊行  東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50281960)
藤井 優  東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30302079)
前田 和茂  東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20125652)
応田 治彦  高エネルギー加速器研究機構, 素粒子・原子核研究所, 助手 (60221818)
キーワードハイパー核 / ガンマ線分光 / ゲルマニウム検出器 / ∧・核子相互作用 / テンソル相互作用 / ハイパーフラグメント
研究概要

米国ブルックヘブン国立研究所AGS加速器において、ゲルマニウム検出器システムHyperballを用いて、2002年9-11月にΛ^^<16>O,Λ^^<15>N,Λ^^<10>Bのハイパー核ガンマ線分光実験(E930)を行なった。
4-8月は、この実験の準備として、Hyperballのすべての検出器のテスト、校正を行なうとともに、磁気スペクトロメータ系のテスト、回路系やデータ収集系のテスト、解析ソフトの開発等を行なった。9月からのビームタイムでは、主に^<16>O標的のデータを収集し、最後に^<10>Bのデータを数日収集した。加速器の不調により積算ビーム量が当初の予定の半分程度であったため、当初予定していた^7Li標的のデータは収集できなかった。
データ収集開始時から現在までデータ解析を進めており、すでに^<16>O標的のデータからΛ^^<16>OおよびΛ^^<15>Nのガンマ線を観測することに成功したことがわかっている。磁気スペクトロメータで測ったΛ^^<16>Oの励起エネルギースペクトルでΛ^^<16>Oの束縛状態を選ぶと、ガンマ線スペクトルには6.55MeVにピークが現れた。このピークはDopPler shiftの補正により細くなるため、Λ^^<16>Oハイパー核からのガンマ線であることがわかる。また、Λ^^<16>Oの励起エネルギースペクトルで、陽子+Λ^^<15>Nに移行するΛ^^<16>Oの励起状態の領域を選ぶことで、Λ^^<15>Nのガンマ線を1.62MeV, 2.27MeV, 2.44MeVに観測した。こうして、Λ^^<13>Cより重いハイパー核で初めてのガンマ線の観測に成功した。今後さらに解析を進めると、これらのハイパー核のレベル図が解明され、そこからこれまでまったく未知であったΛN間のテンソル力の大きさが引き出せるはずである。
^<10>B標的のデータからは、Λ^^<10>Bのガンマ線はまだ見えていないが、高い励起状態を選ぶ'と、Λ^^7Li, Λ^^9Beなど、標的核より質量数の小さい種々のハイパー核(hyperfragment)からのガンマ線(およびその候補)が多数観測された。

  • 研究成果

    (10件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (10件)

  • [文献書誌] K.Tanida et al.: "Measurement of B(E2)of ∧^^7Li and shrinkage of hypernuclear size"Phys, Rev. Lett.. 86. 1982-1985 (2001)

  • [文献書誌] H.Akikawa et al.: "Hypernuclear fine structure in ∧^^9Be"Phys. Rev. Lett.. 88. 082501-0825014 (2002)

  • [文献書誌] H.Tamura: "High-resolution gamma spectroscopy of ∧ hypernuclei : present status and perspectives"Nucl. Phys. A. 691. 86-92 (2001)

  • [文献書誌] K.Tanida et al.: "High-resolution γ spectroscopy of ∧^^7 Li"Nucl. Phys. A. 691. 115-118 (2001)

  • [文献書誌] H.Akikawa et al.: "γ-ray spectroscopy of ∧^^9Be"Nucl. Phys. A. 691. 134-137 (2001)

  • [文献書誌] H.Tamura: "Hypernuclear Studies at KEK and BNL : Gamma spectroscopy of ∧ hypernuclei"Proceedings of 1nt. Workshop on"Structure of Hadrons". 290-299 (2001)

  • [文献書誌] H.Tamura: "Hypernuclear γ spectroscopy and ΛN interactions"Proceedings of 1nt. Symp. on"Hadrons and Nuclei. 147-154 (2001)

  • [文献書誌] 田村裕和他: "ハイパー核ガンマ線分光学の幕開け"日本物理学会誌. 56. 419-422 (2001)

  • [文献書誌] 田村裕和: "縮む「奇妙な」原子核-原子核の概念を拡張するハイパー核"科学(岩波書店). 71. 1013-1015 (2001)

  • [文献書誌] H.Tamura: "Impurity Nuclear Physics"Eur. Phys. J. A. (印刷中).

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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