研究分担者 |
高橋 俊行 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50281960)
藤井 優 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30302079)
前田 和茂 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20125652)
応田 治彦 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子・原子核研究所, 助手 (60221818)
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研究概要 |
米国ブルックヘブン国立研究所AGS加速器において、ゲルマニウム検出器システムHyperballを用いて、2002年9-11月にΛ^^<16>O,Λ^^<15>N,Λ^^<10>Bのハイパー核ガンマ線分光実験(E930)を行なった。 4-8月は、この実験の準備として、Hyperballのすべての検出器のテスト、校正を行なうとともに、磁気スペクトロメータ系のテスト、回路系やデータ収集系のテスト、解析ソフトの開発等を行なった。9月からのビームタイムでは、主に^<16>O標的のデータを収集し、最後に^<10>Bのデータを数日収集した。加速器の不調により積算ビーム量が当初の予定の半分程度であったため、当初予定していた^7Li標的のデータは収集できなかった。 データ収集開始時から現在までデータ解析を進めており、すでに^<16>O標的のデータからΛ^^<16>OおよびΛ^^<15>Nのガンマ線を観測することに成功したことがわかっている。磁気スペクトロメータで測ったΛ^^<16>Oの励起エネルギースペクトルでΛ^^<16>Oの束縛状態を選ぶと、ガンマ線スペクトルには6.55MeVにピークが現れた。このピークはDopPler shiftの補正により細くなるため、Λ^^<16>Oハイパー核からのガンマ線であることがわかる。また、Λ^^<16>Oの励起エネルギースペクトルで、陽子+Λ^^<15>Nに移行するΛ^^<16>Oの励起状態の領域を選ぶことで、Λ^^<15>Nのガンマ線を1.62MeV, 2.27MeV, 2.44MeVに観測した。こうして、Λ^^<13>Cより重いハイパー核で初めてのガンマ線の観測に成功した。今後さらに解析を進めると、これらのハイパー核のレベル図が解明され、そこからこれまでまったく未知であったΛN間のテンソル力の大きさが引き出せるはずである。 ^<10>B標的のデータからは、Λ^^<10>Bのガンマ線はまだ見えていないが、高い励起状態を選ぶ'と、Λ^^7Li, Λ^^9Beなど、標的核より質量数の小さい種々のハイパー核(hyperfragment)からのガンマ線(およびその候補)が多数観測された。
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