本研究の目的は、米国ブルックヘブン国立研究所の高エネルギー衝突型加速器(RHIC)でのPHENIX実験において、電磁カロリメーターを用いて光子を測定し、単光子収量の評価からクォーク・グルオン・プラズマ(QGP)実現の実験的検証を行うことである。 このために、高速ネットワーク、ファイルサーバー、ワークステーション、テープ装置、ディスク装置等からなる解析装置を作り上げた。この解析装置を用いて、解析プログラム、シミュレーションコードの開発を行ない、シミュレーションを実行し、立体角や検出効率の評価を行なった。 RHICでは、平成12年夏に初めて√<^SNN>=132GeVの金・金衝突に成功し、PHENIX実験では百万事象を越える金・金衝突事象を記録することに成功した。このランから得られたデータを用いて、解析を遂行した。 単光子収量を決定する際に、光子二つに崩壊するπ^0が一番大きなバックグラウンドであり、その評価をきちんと行なう必要がある。RHICでの重イオン衝突では光子の多重度が大きいため、その再合成は困難を極めたが、独立事象の混合を行なう方式を開発し、π^0の再合成に成功した。π^0の収量とその運動量スペクトルに、衝突初期の高いエネルギー状態(QGP状態の可能性有り)からの影響が現れている可能性が見い出されたため、π^0の解析、特にその結果の信頼性を高めるために系統的な誤差の評価を進めている。このことは、同時に単光子の収量の系統誤差の評価ともなる。
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