研究課題/領域番号 |
11440078
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村上 哲也 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (50219896)
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研究分担者 |
田中 万博 高エネルギー加速器研究機構, 素核研, 助教授 (90171743)
中村 正信 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師 (90025479)
今井 憲一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70025493)
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キーワード | 高温原子核物質 / 大立体角検出器 / 標的核多重破砕反応 / ブラッグカーブ検出器 |
研究概要 |
昨年度までに放射線医学総合研究所の医療用重イオンシンクロトロン(NIRS-HIMAC)で収集した8、12GeV^<20>Ne及び8GeV^<16>Oビームの引き起こす標的核多重破砕反応のデータ解析を継続して行い、以前KEK-PSで収集した同じビームエネルギーの陽子が引き起こす標的核多重破砕反応のデータとの詳細比較を行った。これまでの解析では陽子ビームのデータと定量的に比較するのが難しかったが、IMFの実際の収量とMoving Source Fitで評価される等方的に放出された収量との比を使うことにより、反応から放出されてくる中間質量破砕片(IMF ; Z【greater than or equal】3)の角度分布に含まれる側方ピーク成分が定量的に調べられるようになった。その結果、測定した全ての反応について側方ピーク成分が存在し、その量はIMFが重くなるほど、Neより軽いIMFについては入射粒子の質量が軽くなるほど多くなることが明らかになった。この結果は、7月にバークレーで開かれた国際原子核物理学会議でのポスターセッション、それに11月に京都で開かれた"Clustering Aspects of Quantum Many-Body Systems"国際会議での招待講演で報告した。 昨年度に引続き、一つの検出器で水素及びヘリウムの同位体が弁別でき、読みだし回路系を簡単化できる、次世代の大立体角検出器の有力な候補である、CsI(Tl)結晶とフォトダイオードを組み合わせた検出器の開発を進めて来たが、回路の雑音対策がうまく行かず、目だった成果をあげるに至らなかった。 2月初めには、NIRS-HIMACで加速される核子当りのエネルギーがこれまで以上に高く、より重い軽重イオンビームである8.1、22.4GeV^<28>Siビームと、大立体角検出器を使った標的核多重破砕反応の実験を行った。検出器の遮蔽の強化など工夫を行い、これまでのデータと比べるとかなりS/Nが悪いが、反応の系統性を探るのに重要な情報を得ることが出来た。
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