研究課題/領域番号 |
11440081
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
下浦 享 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (10170995)
|
研究分担者 |
寺西 高 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10323495)
岩崎 弘典 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30334246)
久保野 茂 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20126048)
本林 透 立教大学, 理学部, 教授 (20116114)
青井 考 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00311647)
|
キーワード | α粒子非弾性散乱 / 不安定原子核 / EO巨大共鳴 / 原子核の圧縮率 / 不安定核ビーム / 逆運動学 / 不変質量測定 / ガンマ線分光 |
研究概要 |
本研究は、陽子あるいは中性子過剰な不安定原子核に対するα非弾性散乱を逆運動学で測定し、これらの核の励起状態、特にO^+状態およびEO巨大共鳴を探索することを目指している。昨年度、理化学研究所加速器施設の二次ビームラインRIPSを用いて測定した、核子あたり60MeVの二次ビームで(a)^<14>O+αおよび、(b)^<12>Be+α反応の解析を行っている。実験では、荷電粒子測定のためにプラスチックシンチレータホドスコープおよび、ガンマ線測定のため68台のNaI(Tl)シンチレータを用い、液体ヘリウム標的は、約2週間の間安定に稼働した。 (a)では、^<14>O核の0^+、1^-、2^+、3^-状態への微分断面積の測定により、移行角運動量との相関を明らかにするとともに、より高い励起状態への遷移確率を求める。現在データ解析中であるが、基礎データとして、種々の破砕片の各種同定とそれらの生成断面積を求め、半経験則と比較して、炭素同位体の生成が多いことが明らかになった。(b)では、^<12>Be核に寿命の長い核異性体が存在することが明らかとなった。崩壊で生成された2本のガンマ線のエネルギーから、励起エネルギーが2.24MeVであり、角度相関からスピンパリティがO^+と同定された。また、2^+状態および1^-状態への非弾性散乱の微分断面積が移行角運動量で特徴づけられる角度分布が得られた。これらの状態への遷移強度の解析が進行中である。また、(a)、(b)いずれの系においても核子移行反応(α,t)および(α,^3He)の断面積が予想以上に大きく、当初の計画を超えて、不安定原子核の一粒子状態の核分光手法として利用できる、ことが明らかになった。
|