研究概要 |
本研究の目的はπ^-とπ^+がクーロン力で束縛されたπ^-π^+原子の崩壊寿命を実験により直接測定することで、π中間子のS波散乱長を求め,この散乱長をカイラル摂動理論で計算した散乱長と5%以内の精度で比較することにより、非摂動領域でのQCDの検証を行うことである. 本年度は昨年度に引き続きDIRAC実験のデータ取得を5月から11月にかけて行った.5月には,昨年度から用意していたdE/dxカウンター用の改良積分回路をインストールし,デッドタイムを減らすことに成功した.データ取得を行いながら,よりビーム強度を上昇させるために,トリガーの改良を行う目的で,詳細なトリガーに関するモニタリング,解析及びトリガーに関するシミュレーションを行った.これに基づきScifiホドスコープやdE/dxカウンターのチューニングを実施した.これにより2000年秋までに1999年当初に比べ数倍のデータ取得能率の向上に成功した. これと平行してπ^-K^+原子の崩壊寿命の測定を行うための種種のシミュレーションを伴う準備を行い,その実験提案書をDIRAC実験プロポーザルの補遺として提出した.
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