研究課題/領域番号 |
11440083
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
清水 韶光 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (20011744)
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研究分担者 |
栗原 良将 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (50195559)
藤本 順平 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (90202291)
石川 正 高エネルギー加速器研究機構, 計算科学センター, 助教授 (90184481)
近 匡 成蹊大学, 工学部, 助教授 (90215442)
加藤 潔 工学院大学, 工学部, 教授 (50152707)
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キーワード | 超対称性理論 / 高次補正 / LEP-II実験 / W・ボソン / 標準理論 / ファインマングラフ / 自動計算システム / GRACE |
研究概要 |
本年度は緊急課題としてあげられていたe^+e^-→W^+W^-過程に対する超対称性理論に対するO(α)補正を計算した。CERNで実験解析が続けられているLEP-II実験では、Wボソン粒子の生成断面積が1%の実験精度で測られようとしている。このため、実験結果から超対称性理論の兆候を引き出すことができる上記の計算が強く望まれていた。昨年度までに整備されてきた超対称性理論における高次補正(1ループ)の自動計算システム、GRACE/SUSY/1LOOPによるとこの補正計算に必要なファインマングラフの数は916個であった。紫外発散の処理にはDimensional Reductionスキームを用い、赤外発散の処理は光子に仮想質量を持たせてファインマン積分を正則化した。これらの発散は2つのパラメタとして数値計算上で保持され、それぞれが計算精度内で相殺されていることを確認した。また、2つの繰り込み処方を適用することで計算の検証も行った。その結果LEP-II実験のエネルギー領域では超対称性粒子からの高次補正の寄与は1%以下であることがわかった。このためLEP-II実験では超対称性理論を無視する近似が十分よく、この過程が標準理論の精密検証に適していることが確認された。さらに電子、陽電子の衝突エネルギーが高くなる線形加速器実験では、次第に超対称性粒子からの高次補正効果が増大し、JLC-1実験の領域では数%の寄与があることもわかった。JLC-1実験では超精密測定が期待されているのでこの計算から超対称性理論のパラメタに関し重要な情報を引きだすことが可能となる。実際には超対称性理論のパラメタは多様であるため、多次元パラメタ空間をスキャンし解析する必要がある。前述のように916個のグラフを計算するため、1エネルギーポイントにおける計算に約数分かかる。パラメタ空間のスキャンを行うためには計算時間の短縮が要求される。このため、自動計算システムをスーパーコンピュータに効率的にのせる準備を行っている。
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