研究課題
基盤研究(B)
高エネルギー加速器研究機構のわれわれグループは、大学の研究者と共同で高エネルギー反応の自動計算プログラムの開発を長年おこなってきた。その一環として、3年前に超対称性理論MSSMのボルン反応の断面積を自動計算するプログラムGRACE/SUSYを開発した。しかしながら、ヒッグス粒子に関しては輻射補正が非常に大きいことがわかってきたため、自動計算によって輻射補正を評価することが急務になってきた。本研究では、電弱相互作用の標準模型における輻射補正の自動計算プログラムの開発において培ってきたノウハウを駆使して、MSSM模型における一次輻射補正の自動計算の開発をおこなった。一般に超対称性理論では、理論の対称性が高い分、模型に現れる自由変数の個数が粒子の個数よりすくなくなる。したがって、すべての粒子にオンシェル繰り込み条件を課することができないといった問題が生じる。また、超対称性粒子が一個も見つかっていない現状では、粒子の伝播子の極において繰り込み条件を設定するオンシェル繰り込み理論を構築することは非現実的であるということもできよう。しかし、近い将来、超対称性粒子が見つかることを想定して、本研究ではオンシェル繰り込み理論を採用した。このような問題をひとつづつ解決して出来上がったのがMSSMの1次の輻射補正を含む反応断面積の自動計算パッケージ、GRACE/SUSY/Lである。実際応用として、5つの電子・陽電子SUSYヒッグス生成散乱課程について、詳細な解析を行った。
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