研究課題/領域番号 |
11440085
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研究機関 | 高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
吉田 哲也 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50222394)
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研究分担者 |
吉村 浩司 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教授 (50272464)
槇田 康博 高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助手 (30199658)
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キーワード | BESS / 宇宙起源反物資 / 反ヘリウム核探索 / 長時間観測気球実験 |
研究概要 |
BESS超伝導スペクトロメータを用いた宇宙粒子線観測気球実験によって、宇宙起源反物質の探索を進め、一次宇宙線中の反ヘリウム核のヘリウム核に対する存在比について1〜14GVの磁気硬度領域で6.8x10^<-7>という上限値を与えた。これは過去実施された飛翔体による宇宙起源反物質直接探索の中で最も厳しい上限値を与えるものであり、我々の銀河の近傍では物質が圧倒的に優勢であることを直接的に示したものである。 今年度の気球実験は米国宇宙航空局の方針で磁気限界硬度の大きな米国ニューメキシコ州フォートサムナーで実施されたため、反物質探索が可能な磁気硬度領域が著しく制限された。そのため今年度の実験データによる反物質探索での大きな進展は期待できなかったが、一方これまで毎年の気球実験データによって僅かながら解析方法に差異があったものを統一的に解析する手法を見出し、全データを解析しなおすことによってより厳しい上限値を得ることができた。 このように得られた成果は「国際宇宙線会議(ICRC2001)」や「CPの破れに関する国際会議(KAON2001)」などで報告され、現在学術雑誌に投稿する準備を進めている。 またさらに一桁以上より高感度での反物質探索気球実験を目指した長時間宇宙粒子線観測気球実験用飛跡検出器のR&Dやデータ収集システムの開発なども進められ、10〜20日間程度の長時間観測を今後2〜3年以内に実施し、反ヘリウム核のヘリウム核に対する存在比を10^<-7>以下の感度で探索できる見込みを立てることができた。
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